マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 03 動いてくれないテーマ:代理店・販売店読む時間 約7分更新 2026年10月5日

「代理店を外せば、その分が浮く」は本当か

三行で言うと
  1. 販売パートナーを外すことはできる。でも、その会社がしていた仕事まで、なくなるわけではない。
  2. 手数料は、売れたときだけ払う費用。自社の営業は、売れなくてもかかる。数えると、「浮く」はたいてい成り立たない。
  3. 問題は手数料の高さより、その仕事のうち「商品を説明する」で、約束が伝わっていないこと。

1販売パートナーがしている仕事

メーカーから見ると、販売パートナーはときどきもどかしい存在です。それでも、していることはいくつもあります。

  • 品物 運ぶ。在庫を持つ。いろいろなメーカーの商品を取りそろえる
  • お金 代金を回収する。支払いを待つ。回収できないかもしれない危うさを引き受ける
  • 情報 困りごとを聞き、説明して注文を受け、買ったあとの相談にも乗る

外すことはできます。でも、その会社がしていた仕事まで、なくなるわけではありません。 通さずに売るなら、顧客を訪ねるのも、代金を回収するのも、消耗品を届けるのも、自社でやることになります。考え始めるところは、「使うか、使わないか」の手前。どの仕事を、誰が受け持つと、一番無理がないのか、です。

2契約の形で、見える数字が変わる

比べること取り次ぐ形(代理店)仕入れて売る形(販売店)
商品の売買メーカーと顧客のあいだメーカーと販売店、販売店と顧客の二段
販売パートナーの収益手数料売り値と仕入れ値の差
在庫、回収できなかったときの損持たない。損はメーカー持つ。損は販売店
メーカーに見える数字売れた一件ずつ販売店への出荷まで。どこにいくつ届いたかは、取り決めがなければ見えない
メーカーに見えない数字話を出した件数、出さなかった理由上に加えて、顧客での使われ方

自社がどちらの形かで、戻してもらう情報の優先が変わります。取り次ぐ形で見えないのは、分母(何社に話を出したか)です。

3三つの流れで、道筋を書き出す

商品が届くまでの道筋(販売経路)には、品物のほかに、お金と情報が流れています。見落とされやすいのは情報で、行きと帰りがあります。

品物、お金、情報は、通る相手と向きが違う (本の図10-1)PNGSVG
  • 行き:決めた約束が、顧客に届いているか。人の口を通るたびに、丸くなる
  • 帰り:顧客の声が、戻ってきているか。声が止まる場所は販売パートナーでも、聞く決まりをつくっていないのは、メーカーのほう

直接売れば何でも分かる、というわけでもありません。自社の営業でも、聞いたことを書きとめて回す決まりがなければ、声はそこで止まります。

4「外せば浮く」を数える

業務用の洗浄機の例で数えます(数字は仮定)。一台の手数料は45万円。直接売るために営業を一人増やすと、年に700万円かかるとします。

  • 700万円 ÷ 45万円 = 約15.6台
  • 今、代理店が売っている16台を、新しい一人がまるごと引き受けて、ようやく釣り合う
  • 初年度から16台売る見込みは、ふつう立たない。代金の回収や、買ったあとの相談を引きつぐ手間も、まだ入っていない

手数料は、売れたときにだけ払う費用です。自社の営業は、売れなくてもかかります。 販売の数が少なく、顧客が広い地域に散らばっている会社にとって、代理店は、固定費を抱えずに遠くまで届くための仕組みです。直接売ることで新しく注文が増えるなら、それは別の計算です(増えた台数の限界利益と、増える固定費を比べる)。

5問題は、どこにあるか

手数料は、仕事の代金でもあります。 問題なのは、45万円が高いか安いかより、その仕事のうちの「商品を説明する」で、約束が伝わっていないことかもしれません。そうなら、直すのは経路ではなく、説明のところです。

経路を決めるのは、たいてい経営です。マーケティング担当者がつくるのは、「外せば浮く」と言う人と、同じ数字を見て話すための材料です。

やりがちな間違い

手数料を、ただの差し引きとして見る。その中には、回収、在庫、相談の受け付けといった仕事の代金が入っています。
直接売れば、声が戻ると思う。聞いて回す決まりがなければ、自社の営業のところでも止まります。
知らせる場所と、買える場所を混ぜる。Webで知った人が、出入りの業者に聞いて「扱ったことがない」と言われたなら、つまずいたのは買える場所です。

A社の場合

架空の会社の例

A社でも「代理店を外せば45万円が浮く」という話は何度か出ました。マーケティング課長の早川さんは、営業を一人増やす場合と並べて数え、同じ表を社内で見られるようにしました。一方で、Webで洗浄機を見た工場長が、出入りの業者に「うちでは扱ったことがなくて」と言われた一件もありました。その地域にA社の代理店はありませんでした。早川さんは、問い合わせの案内に「お近くに取り扱いの代理店がない地域は、A社の営業が伺います」の一行を足しました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

契約の形(例)取り次ぐ形(手数料)
外したら自社で受け持つ仕事訪問、回収、消耗品の届け、相談
メーカーに見えにくい数字話を出した件数

B社 建材

契約の形(例)仕入れて売る形(販売店が在庫を持つ)
外したら自社で受け持つ仕事在庫、配送、現場への納品、与信
メーカーに見えにくい数字どの現場に何が入ったか

C社 業務用のソフト

契約の形(例)再販、または紹介の手数料
外したら自社で受け持つ仕事導入の支援、地域での訪問
メーカーに見えにくい数字紹介した件数、導入先での使われ方

D社 計測の機器

契約の形(例)商社が仕入れて売る形
外したら自社で受け持つ仕事在庫、配送、与信、相談
メーカーに見えにくい数字どの工場に何台入ったか

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「代理店を外せば、手数料が浮く」。この計算で抜けやすいものは何でしょうか。答えを見る

代理店がしていた仕事を自社で受け持つ費用です。営業の人件費のように、売れなくてもかかる固定費が増えます。回収や相談の手間も入ります。

問2取り次ぐ形の代理店について、メーカーに見えにくい数字は何でしょうか。答えを見る

分母。代理店が何社に話を出したか、出さなかった理由です。

やってみる

自分の会社の一件で

型04 三者で比べる

型4「三者で比べる」。今の経路と、「外した場合」の二案を並べ、自社・販売パートナー・顧客それぞれの、受け取るもの・払うもの・手間を書きます。外した場合に自社で受け持つ仕事を、品物・お金・情報に分けて書き出します。

  • 何を決めたいか
  • 案ごとに比べる
  • やめ方
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第10章。手数料を数えたあと、早川さんは、問題は経路ではなく説明のところだ、と同じ表で話せるようにします。そのあと、代理店と組むための分担に進みます。

本について →

本の該当箇所:第10章 第2・3・4・5節

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