第1部 土台を固める
「で、どっちなんだ」
広告をつくり直し、訪問も増やした。それでも契約は増えない。月例の会議は「広告が弱い」「営業が押していない」で止まり、社長が二人を見て言う。答えられなかった早川さんは、翌週、黒田さんに頼みにいく。止まった案件を、三件だけ一緒に振り返らせてほしい、と。
表は、一行めから空いていた
止まった一件を、時間の順に書き出す。分かっていたのは工場長までで、決めた社長に、誰が、何を見せたのかは分からない。話をつないでいたのは、代理店の野口さんだった。
「無料で見にいこう」
黒田さんが、導入後の無料の訪問と、一割の値引きを提案する。早川さんは、顧客・A社・代理店を一枚で比べた。壁の予定表を見ていた大西さんの一言で、案は預かりになる。
第2部 相手を見定める
失注メモの三択
営業の記録の理由の欄は「価格」「他社」「時期尚早」の三つだけ。「競合は同業の二社」という会議の前提は、記録では裏づけられなかった。早川さんは、欄を一つ足してほしいと頼む。
工場長の六つの言葉
見積書の控え六十件を読み直すと、毎年の費用が載っていたものは一件もなかった。早川さんは、代理店の担当者に頼んで、止まった工場を訪ねる。聞けたのは、記録の三択には収まらない言葉だった。
三つとも、外れではなかった
社内で出ていた三つの仮説は、どれも外れではなかった。当てはまる会社が、別々だったのだ。A社は、名簿を課題で分け直し、先に追う相手を決める。
第3部 提案を組み立てる
表紙から「高性能」を外す
「で、その工場には、何を言うんだ」。早川さんは、何と比べて選ばれているのかから考え直し、約束を一枚に書く。表紙の案を見た開発の担当者は、速さの数字を惜しむ。
カバーをかけられた洗浄機
注文どおりに納めた一台が、ひと月後、洗い場の隅でカバーをかけられていた。早川さんは、約束を作業の流れに直す表を、大西さんと書く。最初に聞かれたのは、日数だった。
「ちょっと高いかな」は、何と比べた言葉か
価格を変えずに、五年間の総額の表をつけた見積書をつくる。値引きを求める声に、早川さんが会議に出したのは、結論ではなく判断の材料だった。
「一番難しいのは、どれですか」
毎年の説明会で話してきた段取りを、五人のうち四人は覚えていなかった。分担の表を持って代理店を訪ねた早川さんたちは、首を横に振られる。
第4部 伝えて、続けてもらう
正しい一行が、通じない
一枚の資料の下書きを見た野口さんが言う。「工場長には、何て言えばいいんですか」。社長向けの一枚は、誰の手から渡るのかを考えて、つくり直すことになる。
名刺は百二十枚。その後を、誰も知らない
展示会の名刺とWebの資料請求。入口の数は足りていた。止まっていたのは、その先だった。受け手を、出入りの代理店があるかで決める。
かばんに入っているのに、名前が出ない
工場長から「また一人辞めた」と電話を受けた野口さん。A社のカタログはかばんの中にあったのに、名前は出なかった。思い出されるのは、社名より場面だった。
六十台とも「完了」
この三年に入れた機械を、洗剤の注文の記録と並べる。帳簿の上ではすべて完了なのに、注文が止まっている工場があった。「続く」を三つに分けて見直す。
第5部 試して、修正する
やることが二十を超えた会議
「で、来期は、何からやるんだ」。問い合わせを増やすのか、見送りを減らすのか。数えてみると、先に尽きるのは、お金ではなかった。
「全部の代理店に、配りましょう」
早く配りたい営業部長に、早川さんは小さく試す計画を出す。二社で三か月。決めたいことを、三か月で答えが出る大きさまで小さくした。
同じ表から、三つの読み
三か月後の判断日。同じ六件の表を見て、三人が別のことを言う。判断の前の週、野口さんから一本の電話が入っていた。
「一枚にしてくれ」
壁いっぱいの表を前に、社長が言う。早川さんは計画を一枚にまとめ、決める前に、関係する人たちに見せる。そして半年後、同じ会議室で――。
『選ばれる理由のつくり方』
この先は、本で。
早川さんの頼みに、黒田さんは何と答えたか。工場長の六つの言葉を聞いた営業会議で、誰が何を引き取ったか。断られた頼みごとは、どう書き直されたか。三か月の判断日に、何を広げ、何を直したか。そして半年後の会議で、何が変わっていたか。『選ばれる理由のつくり方』で読めます。
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