マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 02 決まらないテーマ:価格テーマ:資料・Web・広告読む時間 約8分更新 2026年10月5日

見積書に、毎年の費用をどう載せるか

三行で言うと
  1. 顧客が知りたいのは「全部でいくら出ていくか」。本体だけの見積書は、分からない部分を悪いほうに見積もらせる。
  2. 五年間の総額を、比べる相手(人を増やす、いまのまま)と並べ、月に直す。
  3. 合計に入れていないものを、合計より先に書く。黙っておいた表は、最初の質問で信用を落とす。

1本体の価格だけの見積書

見積書に本体の価格だけが載っていて、消耗品や点検の費用は口頭で「別途かかります」。よくある形です。

毎年の費用が見えないと、顧客は分からない部分を悪いほうに見積もります。「あとからいろいろ請求されるのではないか」。この不安が、払うもののほうに載ります。買うときの価格だけでなく、使い続ける費用、手放すときの費用まで含めた総額で考える見方は、法人の買い物では古くから使われてきました。

2五年間の総額を、比べる相手と並べる

業務用の洗浄機の例です(数字はすべて説明のための仮定)。

洗浄機を入れるパートを一人増やす
初めにかかる費用312万円(本体300万円+下見・設置・説明12万円)金額にしていない
毎年かかる費用24万円(消耗品18万円+点検6万円)132万円(時給1,100円×5時間×240日)
五年間の合計432万円660万円
月に直すと約7.2万円11万円
合計に入れていないもの電気と水道、修理、操作する人の時間、手放すときの処分募集の費用、教える手間、日々の管理
五年間の総額の表がついた見積書 (本の図9-2)PNGSVG

比べる相手を決めると、見積書で何と並べて見せるかも決まります。

3前提を書き、動かして見せる

前提を一つ動かすと、差も動きます。パートに頼む時間が一日4時間で足りる工場なら、差は228万円から96万円に縮みます。

「人を増やさずに済む」の中身も分けておきます。実際に一人雇うはずだった工場なら、その費用が出ていかずに済みます。今いる人をほかの持ち場に回すだけなら、現金の支出は減りません。得られるのは、回した先で進む仕事です。人が採れない工場では、比べる相手は「採れないまま回す」ことになり、出ていくのは残業と、受けられない注文です。

4月に直す

月に直した行を足すのは、決める人の基準に合わせるためです。中小の会社の社長がふだん見ているのは、月の人件費と月の支払いです。分割やリースを使う会社では、月の支払いがそのまま基準になります。

5入れていないものを、先に書く

合計に入れていないものを先に書いておけば、「電気代は入っているのか」と聞かれても、言葉につまりません。 入れていないものを黙っておいた表は、差が大きく見えるぶん、最初の質問で信用を落とします。

この表を顧客の前で説明するのは、多くの場合、販売パートナーの担当者です。表をつくって終わりにせず、聞かれそうなことを三つ添えて渡します。約束(たとえば「製造を止めずに入れる」)は、条件を確かめた事実(下見の結果)と一緒に見積書の頭に書きます。条件が紙に残っていなければ、ただの売り文句に見えます。

6導入後の支え方を、並べて選べるようにする

価格には、「いくらにするか」のほかに「どう並べるか」もあります。

支え方中身顧客が払う年額(例)
呼ばれたら行く困ったら電話0〜数万円
点検年に一度の点検6万円
点検+定期の届け点検と、消耗品の定期の届け24万円

並べる前に、どの案にも、それを選んで得をする顧客の顔が浮かぶかを確かめます。浮かばない案は、あいだの案を選ばせるための飾りになっています。顧客は、あとで気づきます。

やりがちな間違い

差を大きく見せるために、入れていないものを書かない。最初の質問で、表全体が疑われます。
約束を、条件なしで書く。確かめた条件と一緒に書かないと、水増しに見えます。
誰も選ばない高い案を、飾りに置く。並べ方の工夫は、顧客に見抜かれます。

A社の場合

架空の会社の例

A社の見積書の控え六十件のうち、毎年の費用が載っていたものは一件もありませんでした。マーケティング課長の早川さんは、総額の表をつけた見積書の見本を、代理店の担当者に預け、止まった一件の工場長に見せてもらいました。返ってきたのは、「これなら社長に出せる、と言っていました。電気代は、と聞かれましたが、表にあったので、その場で答えられました」。営業部長は、まずその代理店の案件から、見積書のひな形を変えることにしました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

初めにかかる費用本体、設置、使い方の説明
毎年かかる費用消耗品、点検
並べる相手パートを一人増やす、いまのまま
入れていないもの(例)電気と水道、修理、処分

B社 建材

初めにかかる費用材料、施工の説明の同行
毎年かかる費用(材料は都度)。追加の現場の説明
並べる相手従来の断熱材と、職人の手間・工期
入れていないもの(例)足場や養生、現場ごとの差

C社 業務用のソフト

初めにかかる費用初期の設定、データを移す作業
毎年かかる費用利用料(二年め以降も)
並べる相手表計算とファックスでの入力・確認の時間
入れていないもの(例)社内で覚える時間、ほかのシステムとのつなぎこみ

D社 計測の機器

初めにかかる費用本体、据え付け、使い方の説明
毎年かかる費用校正、保守
並べる相手手作業の測定の時間
入れていないもの(例)検査の手順書の書き直し、置き場所

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1総額の表で、合計に入れていないものは、どこに書くとよいでしょうか。答えを見る

合計より先に、見えるところに。入れていないものを黙っていると、差が大きく見えるぶん、最初の質問で信用を落とします。

問2五年間の総額の表に「月に直すと」の行を足すのは、なぜでしょうか。答えを見る

決める人(中小の会社の社長など)がふだん見ている単位が、月の人件費や月の支払いだからです。

やってみる

自分の会社の一件で

型07 総額の見積もり

型7「総額の見積もり」。自社の商品で、本体、毎年の費用、止まる日数、入れていないもの、月に直した額を書き、比べる相手と並べます。販売パートナーの担当者が聞かれそうな質問を三つ、その答えと一緒に添えます。

  • 総額(万円)
  • 合計に入れていないもの(先に書く)
  • 前提
  • 聞かれそうなこと三つと答え
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第9章。総額の表を見た営業部長は、こう聞きました。

「これが、社長向けの一枚になるのか」

本について →

本の該当箇所:第9章 第5・8節

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