マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 04 見えないテーマ:顧客を知るテーマ:代理店・販売店読む時間 約8分更新 2026年10月5日

顧客の声が手元に入ってこないとき、どこから始めるか

三行で言うと
  1. 入口は四つ。頼む相手の負担が小さい順に、手元の記録を読む/一件を営業か代理店の担当者と振り返る/共同訪問を相談する/次の案件で一問だけ聞いてもらう。
  2. まず、自分の半日で手元の記録を読む。記録を読むと、記録にないものも分かる。
  3. 会えないときは、会わせてもらう頼み方を小さくする。分からないまま残ったことは、書いておく。

1声が戻らないのは、構造の問題

代理店や販売店を通じて売る会社では、見送った理由は、販売パートナーの担当者のところで止まりがちです。担当者には、それをメーカーに伝える決まりも、伝えて得になることもないからです(「代理店を通じて売る会社では、誰が『顧客』か」)。

だから、「声を集めよう」と号令をかけるだけでは、何も戻ってきません。誰の時間を、どれだけ使って、何を確かめるのかを決めて、小さく始めます。

2会えないときの四つの入口

入口誰の時間を、どれだけ使うか分かること分からないこと
① 手元の記録を読み直す自分の半日。誰にも頼まないどの段階で止まったか。出した見積書に何が載っていなかったか理由。顧客の言葉
② 一件の経緯を、営業か販売パートナーの担当者と振り返る相手の三十分経緯と、担当者の読みそれが顧客本人の言葉かどうか
③ 共同訪問を相談する担当者の事前の十五分と、ふだんの訪問の日の三十分。顧客の三十分顧客本人の言葉。現場の様子どのくらい広く当てはまるか
④ 聞けなかったことを、次の案件で確かめる商談のついでに一、二問これから動く案件での事実過去の止まった理由

上から順にやる手順ではありません。できるところから選びます。

3記録を読む、見る、聞く、数える。この順で

すでにある記録は、一番手軽なのに、一番飛ばされがちです。問い合わせの記録と文面。見積もりの控え。営業の失注メモ。点検と修理の記録。消耗品の出荷の記録。Webサイトでよく読まれているページと、検索されてきた言葉。

記録を読み、見て、聞いて、数える。逆の順にはしない (本の図5-1)PNGSVG

記録を読み、現場を見て、何人かに話を聞き、そこで立った仮説を、必要なら数えて確かめます。逆の順で、何を聞くべきかが分からないうちにアンケートをつくると、会社の側が思いついた選択肢しか並びません。

聞くときは、「なぜ取れなかったのですか」とは聞きません。「検討していたころのことを、順番に教えてもらえますか」と、時間の順に聞きます。営業や代理店の担当者に聞くときも、同じ形です。

4共同訪問は、頼み方が全部

終わった案件に、売らない目的で、マーケティングの人間が行く。頼みにくいのは、そこです。頼み方を一枚にまとめて、先に見せます。

  • 目的と、しないこと 何を決めるために聞くのか。売りこみのやり直しはしない。担当の方の対応を評価する場でもない
  • 質問は三つまで 先に見せる。聞かないこと(価格の交渉、他社の見積もりの額)も書く
  • 当日の役割 紹介は販売パートナーの担当者、質問と記録はこちら
  • 担当者に残るもの 直した資料を最初に使えるのはその人。案件が動き出したら、その人の案件のまま
  • 結果をいつ返すか 一週間以内に、聞いた言葉をまとめて担当者に渡す
黒田さんが、野口さんに持っていった一枚 (本の図5-2)PNGSVG

5断られたら、小さくする

  • 同行は困る → 担当者が、次の訪問で一問だけ聞いてくる(答えは伝聞として記録する)
  • 止まった先は気まずい → 導入してくれた会社から始める。技術者の点検に同行すれば、訪問は増えない
  • 担当者の時間がない → 担当者本人への、十五分の電話だけにする

決める人に会えないなら、言い出した人に「社長に話したとき、何を聞かれましたか」と、過去の出来事として聞きます。

やりがちな間違い

いきなりアンケートをつくる。何を聞くべきかが分からないうちは、会社の思いこみしか確かめられません。
販売パートナーの顧客に、頭ごしに連絡する。聞けるはずだった声が、もっと遠くなります。
聞きやすい人にだけ聞く。買ってくれた人の声だけを集めると、「評判はいい」が出続けます。止まった会社と並べて聞き、誰の声が入っていないかを書いておきます。

A社の場合

架空の会社の例

マーケティング課長の早川さんは、まず①をやりました。この一年に出した見積書の控えは六十件。毎年の費用が載っていたものは、一件もありませんでした。その束を見せると、営業部長の黒田さんは、代理店の野口さんへの頼みごとを引き受けてくれました。結果は、全部は聞けませんでした。同行できたのは一社。ほかは振り返り、一問だけの伝聞、直販の先での聞き取りです。顧客の社長には、どこでも会えませんでした。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

まず読める手元の記録見積書の控え、失注メモ、点検の記録
共同訪問を頼む相手代理店の担当者
訪問を増やさずに聞ける場技術者の点検

B社 建材

まず読める手元の記録見積もりの控え、採用されなかった現場の記録、施工の問い合わせ
共同訪問を頼む相手建材の販売店の担当者
訪問を増やさずに聞ける場施工の説明に回る技術営業の現場

C社 業務用のソフト

まず読める手元の記録問い合わせの文面、業務の聞き取りのメモ、見積もりの控え
共同訪問を頼む相手販売代理店、導入を請け負う会社
訪問を増やさずに聞ける場導入後の定例の打ち合わせ

D社 計測の機器

まず読める手元の記録試しの測定の記録、見積もりの控え、校正の記録
共同訪問を頼む相手商社の担当者
訪問を増やさずに聞ける場据え付けや校正の訪問

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1顧客の声を集めたい。最初に、誰の時間を使うとよいでしょうか。答えを見る

自分の時間。手元の記録(見積書の控え、失注メモ、問い合わせの文面)を、半日かけて読み直します。誰にも頼まずにでき、どの段階で止まったか、何が載っていなかったかが分かります。

問2代理店の担当者に「同行は困る」と言われました。どうしますか。答えを見る

頼み方を小さくします。担当者が次の訪問で一問だけ聞いてくる、本人に十五分だけ電話で聞く、など。答えは伝聞として記録し、誰の声が入っていないかも書いておきます。

やってみる

自分の会社の一件で

型02 止まった一件の書き出し

型2「止まった一件の書き出し」。止まった案件を一つ選び、時間の順に、いつ・誰が・何を見せて・相手が何と言ったかを書き出します。書けない行の横には、「誰なら知っているか」を書きます。

  • 時間の順
  • 関わった人(この一件で、誰が何をしたか)
  • 比べていた相手
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第5章。早川さんが見積書の控え六十件を営業部長に見せたとき、返ってきた言葉です。

「……野口さんに、俺から頼む」

本について →

本の該当箇所:第5章 第3・6・7節、付録1

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