マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 04 見えないテーマ:顧客を知るテーマ:価格読む時間 約7分更新 2026年10月5日

見積もりのあと、返事が来ない。最初に何を確かめるか

三行で言うと
  1. 「価格で負けた」と決める前に、止まった一件を、時間の順に書き出す。
  2. 聞いた言葉は、本人の言葉・間に入った人の読み・こちらの推測に分けて書く。
  3. 広告と値引きは、止まった場所が分かってから。

1なぜ、「価格」で片づいてしまうのか

見積もりのあとで返事が途絶えると、社内の記録には、短い理由が一つだけ残ります。「価格」と残ることも、めずらしくありません。

相手がそう言ったから、とは限りません。記録の様式に、それしか書く欄がないことがあります。

段階で見る図
  1. 工場長が言ったのは、六つ。
  2. 記録の三択を通るのは、一つだけ。A社の失注メモの理由は「価格・他社・時期尚早」の三択。収まるのは「ちょっと高いかな」だけで、あとの五つには書く欄がない
  3. 紙の上では、「価格」になる
  4. 会議に届くのは、「価格で負け」。値下げの検討に、まっすぐ進むところ。代理店を通じた案件では、あいだにもう一段入り、さらに短くなる
  5. 分けて書けば、六つとも届く。「毎年いくらかかるのか」「社長に説明できなくて」は、値下げとは別の手を指している
本の図で見る(図5-3)
顧客の言葉は、人と紙を通るたびに短くなる (本の図5-3)PNGSVG

人を通るたびに短くなり、様式を通るときに、別のものになる。返事が来ない一件を調べるときは、まずこの仕組みを疑います。

2考えられることを、一つに決めないで並べる

返事が来ない理由を、六つの問いに当てると、次の四つが浮かびます。

問い考えられること
対価(見合うのか)見積書にあるのは本体の価格だけで、毎年かかる費用や、導入で仕事が止まる日数が見えていない。総額が読めない
信頼(信じてよいか)故障したとき、誰が最初に動くのかが、はっきりしていない
関係(自分の話か)決める人に、判断の材料が届いていない。窓口の担当者は、社内で説明できずにいる
比べる相手負けた相手は同業ではなく、「いまのまま」かもしれない

どれが当たっているかは、この時点では分かりません。分からないと書いておくのが、ここでの正しい状態です。

3最初に確かめる三つ

  1. 手元の記録を読み直す。 自分の半日。誰にも頼まずにできます。出した見積書の控えに、何が載っていて、何が載っていなかったか。
  2. 止まった一件を、時間の順に書き出す。 営業か、代理店の担当者と一緒に。いつ、誰が、何を見せて、相手が何と言ったか。
  3. 決める人に、誰が、何を見せたのかを聞く。 見せたものの中に、その人が知りたいことの答えがあったか。

相手に聞けるなら、これからの意向(「どうなれば買いますか」)ではなく、これまでの行動(「見積もりのあと、社内でどなたに、何を見せましたか」)を聞きます。

やりがちな間違い

止まった場所が分かる前に、広告を強くする。値引きを出す。呼びこんだ人を、同じ場所でもう一度止めることになります。
「ちょっと高いかな」を、そのまま答えにする。顧客の言葉は、そのまま答えにはなりません。次にどこを確かめにいくのかを決める材料です。
AI が出した一覧を、答えにする。「工場長は何を気にするか」と AI に聞くと、もっともらしい項目が十ほど返ってきます。聞くことを絞る下ごしらえには使えます。ただ、この相手がどれで止まったのかは、一覧からは分かりません。AI の答えは、「こちらが考えたこと」の欄に入れます。

A社の場合

架空の会社の例

A社が控えを見直すと、出していた見積書には、本体の価格だけが載っていました。工場長が気にしていたのは、本体の高さというより、毎年の費用と止まる日数が読めないこと、そして、社長に説明する材料がないことのようでした。一社の話なので、まだ仮説です。A社が次にやったのは、値下げではありません。毎年の費用まで入れた見積書をつくり、ほかの止まった会社にも見せて、反応を聞くことでした。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

売るもの/顧客業務用の洗浄機/惣菜・食品の工場
間に入る人厨房の機器を扱う代理店の担当者
見積もりに載っていない(かもしれない)もの洗剤と点検の、毎年の費用。設置で洗い場が止まる日数
材料が届いていない(かもしれない)人工場長の先の、社長
負けた相手同業ではなく、「手で洗い続ける」だったかもしれない

B社 建材

売るもの/顧客外壁の断熱パネル/地域の工務店
間に入る人建材の販売店の担当者
見積もりに載っていない(かもしれない)もの職人が慣れるまでの手間と、工期への影響
材料が届いていない(かもしれない)人工務店の社長。その先の施主
負けた相手使い慣れた、従来の断熱材かもしれない

C社 業務用のソフト

売るもの/顧客受発注を管理するクラウドのソフト/中小の卸売の会社
間に入る人地域の IT の販売代理店、導入を請け負う会社
見積もりに載っていない(かもしれない)ものデータを移す作業。二つの仕組みを並べて動かす期間。二年めからの利用料
材料が届いていない(かもしれない)人費用を認める役員
負けた相手表計算とファックスかもしれない

D社 計測の機器

売るもの/顧客検査用の計測機器/中堅の部品メーカーの品質保証の部署
間に入る人機器を扱う商社の担当者
見積もりに載っていない(かもしれない)もの校正と保守の、毎年の費用。検査の手順書を書き直す手間
材料が届いていない(かもしれない)人設備の予算を持つ部長
負けた相手手作業の測定かもしれない

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1営業の報告に「顧客は価格に不満を持っていました」とあります。これは、聞いたことでしょうか。考えたことでしょうか。答えを見る

この文だけでは、分かりません。相手が言ったのが「やっぱり、ちょっと高いかな」なら、そのまま「本人の言葉」の欄に書きます。「不満を持っていた」は、報告した人の読みなので、「間に入った人から聞いたこと」の欄です。

問2見積もりのあと返事が来ない案件が、三件続きました。先にやるのは、どれでしょうか。A 広告を増やす B 値引きの枠をつくる C 止まった一件を、時間の順に書き出す答えを見る

C。A と B は、止まった場所が分かってから。場所が見積もりの中身にあるなら、広告を増やすほど、同じ場所で止まる人が増えます。

やってみる

自分の会社の一件で

型03 誰の言葉かを分けて書く記録

型3「誰の言葉かを分けて書く記録」。止まった一件を、六つの欄(記録で確かめたこと/顧客本人から聞いた言葉/間に入った人から聞いたこと/こちらが考えたこと(AI の答えも、ここに)/聞けていないこと/次に確かめること)に分けて書きます。書けない欄は、空けたままに。そこが、次に確かめにいく先です。

  • 1 記録で確かめたこと
  • 2 顧客本人から聞いた言葉
  • 3 間に入った人から聞いたこと
  • 4 こちらが考えたこと
  • 5 聞けていないこと
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第2章・第5章・第9章。代理店の野口さんは、なぜ同行を引き受けたのか。工場長の言葉を営業会議で読み上げたとき、営業の黒田さんは何と言ったか。

「別途と口で言ったのは、俺だ」

本について →

本の該当箇所:第2章 第1節、第5章 第8節、付録1

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