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壁 03 動いてくれないテーマ:代理店・販売店読む時間 約8分更新 2026年10月5日

説明会を開いても、代理店が勧めてくれないのはなぜか

三行で言うと
  1. 製品を知っていても、顧客の前で話せるとは限らない。年に一、二度しか説明しない商品は、覚えていられない。
  2. 勧めない理由は、意欲ではなく、六つの問いで問い直せる。とくに「信頼」(勧めたあとで困らないか)。
  3. 説明会で聞いたことは忘れる。目の前で見たことは、自分の言葉で話せる。

1代理店の側から、一台を見る

「代理店が、ちゃんと売ってくれない」。けれども、代理店は別の会社です。一台が、代理店の側からどう見えているかを、三つで見ます。

  • 採算 一台の手数料は、代理店の売上全体から見れば、数ある取り扱いの一つ。同じかばんには、同業のカタログも入っている
  • 説明の負担 年に一、二度しか説明しない商品のことは、覚えていられない。聞かれて答えられないものは、勧めない
  • 信用 一台売れることより、出入り先からこれからも相談してもらえることのほうが大事。だから、勧めるのは、あとで苦情が来ないもの
代理店の側から見ると、一台はこう見える (本の図10-2)PNGSVG

代理店の担当者が「定番のメーカー」を勧めるのは、自分の信用を守るための、筋の通った判断です。 定番とは、良い機械という意味ではなく、勧めて苦情が来なかった、という実績のことです。

いちばんの落とし穴は、「契約を結べば、売ってくれるはず」という思い込みです。担当者と代理店が動くのは、その商品を扱う意味があると思えたときです。儲かるか。売りやすいか(説明の手間が軽く、売ったあとに困らないか)。自分たちの商売の値打ちが上がるか(得意先からの信用が増すか、ほかに扱っている商品と組み合わせられるか)。三つのどれかが欠けていれば、カタログはかばんの底に沈みます。

2勧めない理由を、六つの問いで問い直す

「もっと売ってください」と頼んでも、動きません。動くのは、負うものが軽くなるか、得るものが増えたときです。勧めない理由は、仮説として確かめられます。

問い代理店の担当者から見ると確かめ方
関係どの得意先に話せばよいか「最近、こういう困りごとの話が出た得意先はありますか」で名前が挙がるか
効果得意先に、何がよくなると言えるか訪問に同行し、帰りに「聞かれて困った質問」を聞く
対価手数料と続く取引は、通う手間に見合うか一台決まるまで何回通うかを聞く
入手下見・見積もり・導入を、無理なく進められるか段取りを、自分の言葉で説明できるか
信頼勧めて、得意先での信用を守れるか。すでに勧め慣れたメーカーはないか過去に困った一件を聞く。「相談が来たら、最初にどこの名前を出しますか」
継続一度勧めて、次も勧めたいと思えたか勧めたあと、困ったことはなかったかを聞く

六つを一度に解こうとせず、一社の、一人で、どれが当たっているのかを確かめます。

報奨金や販売キャンペーンは、この表で見ると「対価」が当たっているときの手です。話す相手が分からない、売ったあとが不安だ、という理由で止まっているなら、報奨を積んでも動けません。先に理由を確かめ、得の問題だと分かってから考えます。

3知らなかった四人より、知っていた一人に聞く

五人のうち一人だけが、導入の段取りを知っていた。そのとき、四人がなぜ知らなかったかより、一人がなぜ知っていたかを聞くほうが、次の手が見つかります。

答えが「前の年に、得意先で導入の次の朝に居合わせた。見たので、話せます」だったなら、次に考えるべきことは、説明会の回数ではなく、担当者に一度見てもらう機会をどうつくるかです。

見てもらう方法は、強い順に、次の朝に来てもらう、導入の一日を写真と時刻で記録して渡す、説明会とカタログ、です。説明会は、やめるのではなく中身を替えます。導入の一日の記録を見せ、見た担当者に五分話してもらう。費用は増えません。

説明会のかわりに渡す、設置の一日 (本の図10-3)PNGSVG

4社長と担当者では、気にしていることが違う

気にしていること効く話
代理店の社長会社に入る手数料、取り扱いを続ける値打ち消耗品や点検のような、毎年の取引
代理店の担当者得意先での自分の信用、自分の時間、自分の目標の数字勧めたあとで困らないこと。説明の手間が軽いこと

窓口の社長が「ぜひやりましょう」と言っても、工場を回っている担当者が困ったままなら、話は顧客に届きません。

やりがちな間違い

意欲のせいにして、説明会を増やす。知っていても、話せるとは限りません。
理由を確かめる前に、報奨を積む。止まっているのが「信頼」なら、お金では動きません。
一度の「話が違う」を軽く見る。紹介する人は、自分の信用を貸しています。崩れるほうが、速い。

A社の場合

架空の会社の例

A社は毎年、代理店の担当者を集めて説明会を開き、休業日に設置できることにも触れてきました。それでも、五人のうち四人は覚えていませんでした。段取りを知っていた一人は、前の年、得意先の工場で設置の次の朝に居合わせていた人でした。A社は、次の朝の立ち会いと、設置の一日の記録を、代理店に「見てもらう」ための道具に変えていきます。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

担当者が勧めない理由になりそうなもの設置の段取りを説明できない。故障時が不安
一度「見てもらう」機会設置の次の朝
社長に効く話消耗品と点検の毎年の取引

B社 建材

担当者が勧めない理由になりそうなもの施工のトラブルが自分に来る不安
一度「見てもらう」機会最初の現場の施工
社長に効く話継続して採用される現場

C社 業務用のソフト

担当者が勧めない理由になりそうなもの導入後の問い合わせが自分に来る不安
一度「見てもらう」機会導入先が使い始めた日の画面
社長に効く話毎月の利用料からの取り分

D社 計測の機器

担当者が勧めない理由になりそうなもの測定の不具合の相談に答えられない
一度「見てもらう」機会据え付けと、最初の測定
社長に効く話校正と保守の毎年の取引

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1説明会を開いても勧めてもらえないとき、最初に確かめるとよいのは、どれでしょうか。A 説明会の回数 B 勧めない理由が六つの問いのどこにあるか答えを見る

B。話す相手が分からないのか、勧めたあとが不安なのか。理由によって手が変わります。

問2段取りを知っていた担当者が一人だけいました。何を聞きますか。答えを見る

なぜ知っていたのか。見たのか、聞いたのか。その答えが、ほかの担当者に何を用意すればよいかを教えてくれます。

やってみる

自分の会社の一件で

型08 代理店への頼みごと

型8「代理店への頼みごと」。勧めてもらえない理由の仮説を、六つの問いのどれかに当て、確かめるための質問を一つ決めます。次に、担当者に一度「見てもらう」機会を一つ書き、頼みごとと、相手の負担と見返りを同じ行に書きます。

  • 相手
  • 目的
  • 頼みごと(三つまで)
  • こちらが受け持つこと
  • 次の一件(名前と期日)
  • 手数料の内か、外か
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第10章。段取りを知っていた一人の担当者は、こう答えました。

「休みの日に入れて、次の朝には動いていましたからね。見たので、話せます」

本について →

本の該当箇所:第10章 第6・7節、第13章 第6節

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