マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 03 動いてくれないテーマ:使い続けてもらう読む時間 約7分更新 2026年10月5日

納品したのに、使われていないらしい。何を見るか

三行で言うと
  1. 検収の印と、使い続けることは同じではない。価値は、使われたときに、はじめて本当のものになる。
  2. 「続く」を三つに分ける。使い続ける/消耗品と保守/再購入。時間も、決める人も、兆しの出る場所も違う。
  3. ひと月後に三つを見る。使っているか、誰が使っているか、消耗品は足りているか。一番大事な兆しは「使っているのが、決まった一人だけ」。

1帳簿の上では「完了」

この三年に入れた機械の記録を、消耗品の注文の記録と並べてみる。帳簿の上ではすべて「完了」なのに、注文の間隔があいているもの、止まっているもの、何も分からないものがある。

顧客にとっての価値は、使われたときに、はじめて本当のものになります。買ったときには、まだ約束のままです。

使い続けない理由は、不満とは限りません。教わった人が異動した。仕事の量が減った。消耗品が切れて、そのままになった。新しい責任者が前のやり方に戻した。どれも、検収の印にも、アンケートの点数にも出てきません。こちらから聞かなければ、分からないままです。

2「続く」を三つに分ける

使い続ける消耗品と保守再購入(更新・増設)
誰が決めるか使う人、現場の責任者現場の責任者、経理決める人(社長、本社)
兆しはどこに出るかひと月後の確認。使う人が一人に偏っていないか消耗品の納品の間隔、点検の実施点検のときの機械の状態と、相手の事情
結果が分かるまでひと月数か月〜一年十年

(業務用の洗浄機の例)

再購入の答えは十年先。来期に見えるのは、使用と、洗剤と点検だけ (本の図14-1)PNGSVG

契約や消耗品の注文が続いていても、使いこなされているとは限りません。使ってはいるが、一部の作業にしか使っていない。決まった一人しか触っていない。そういう顧客は、手放しはしなくても、次の更新や増設にはつながりにくくなります。「続いているか」だけでなく、「使いこなされているか」を見ます。

三つは、一つの「継続率」にまとめません。 会議で「継続率を上げよう」と言われたら、「どの継続ですか」と聞き返します。それだけで、やることが変わります。

設備の商売の利益は、二階建てです。本体の利益と、使われ続ければ入る消耗品と保守の利益。売って終わりの一台は、利益の半分を置いてきています。

3導入後の四つの時期

時期起きやすいこと確かめること
入れる思ったより大変、という後悔予定どおり入ったか
使い始める使い方が分からない。最初の一回で止まるその朝、何人が自分で動かせたか
使い続ける元のやり方に戻る。消耗品が切れる。担当が替わる使っているか、誰が使っているか、消耗品は足りているか
次を決めるきっかけがない。効果を社内で説明できない人手や作業量がどう変わったか

とくに目を配りたいのは、前の二つです。早い時期に止まると、「やっぱり、うちには合わなかった」という結論が先に出てしまいます。使う全員に、「自分にも使えた」という一回めをつくります。

はじめて使ったあとに、顧客が商品の価値を評価し直す段階があります。使い始めに様子を聞くのは、止まりを拾うためだけでなく、その評価し直しの中身を知るためでもあります。

4ひと月後の三つ

ひと月後の三つ。話すのは野口さん、書くのはA社 (本の図14-2)PNGSVG
  1. 使っているか(毎日/ときどき/止まっている)
  2. 誰が使っているか(全員/決まった一人/分からない)
  3. 消耗品は足りているか

一番大事な兆しは、「使っているのが、決まった一人だけ」です。 その人が異動すれば、止まります。三つより増やしません。聞くのは販売パートナーの担当者でも、書くのはメーカーです(「代理店から、顧客の声を戻してもらうには」)。

やりがちな間違い

検収で「終わり」と数える。使われて終わり、を約束にするなら、ひと月後を誰かの仕事にします。
「継続」を一つの数字にまとめる。使用、消耗品と保守、再購入は、別のことです。
アンケートの満足の点数で安心する。満足と答えた人が、使い続けているとは限りません。

A社の場合

架空の会社の例

A社がこの三年に入れた六十台のうち、今も毎月洗剤の注文があるのは三十八台。十二台は間隔があいているか止まっていて、十台は記録から何も分かりませんでした。前に、洗い場の隅でカバーをかけられた一台がありました。教わった人が異動し、洗剤の頼み先が分からず、元の手洗いに戻っていたのです。A社は、代理店の担当者が訪問のついでに三つ聞き、A社が書く形で、ひと月後の確認を始めました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

「使い続ける」の兆し誰が使っているか(全員か一人か)
消耗品と保守の兆し洗剤の注文の間隔、点検
「決まった一人」のおそれ教わった人が異動すると止まる

B社 建材

「使い続ける」の兆し次の現場でも使っているか
消耗品と保守の兆し(追加の注文)
「決まった一人」のおそれ施工を覚えた職人が抜けると戻る

C社 業務用のソフト

「使い続ける」の兆し毎日ログインしている人数
消耗品と保守の兆し利用料の更新、追加の利用者
「決まった一人」のおそれ設定を知っている担当者が辞めると止まる

D社 計測の機器

「使い続ける」の兆し毎日の測定に使っているか
消耗品と保守の兆し校正と保守の契約
「決まった一人」のおそれ測定に慣れた検査員が異動すると止まる

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「継続率を上げよう」と言われました。最初に聞き返すとよいのは、何でしょうか。答えを見る

「どの継続ですか」。使い続けること、消耗品と保守、再購入は、決める人も時間も違うので、やることが変わります。

問2ひと月後の三つのうち、一番大事な兆しは何でしょうか。答えを見る

「使っているのが、決まった一人だけ」。その人が異動すると止まります。

やってみる

自分の会社の一件で

型10 小さく試す計画

型10「小さく試す計画」。次に納める一件だけで、ひと月後の三つを確かめる計画を書きます。誰が聞くか、誰が書くか、「決まった一人」に丸がついたら誰が何をするかまで。広げるかどうかは、その一件の結果を見てから決めます。

  • 決めたいこと
  • もとになる仮説と、正しければ見られるはずのこと
  • 変えること
  • 対象と期間
  • 協力者と負担
  • 見るもの(三段)
  • この試しでは確かめられないこと
  • 途中でやめる条件
  • 報告の約束
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第14章。検収の印のついた六十台の記録を、洗剤の注文と並べたところから始まります。第8章には、カバーをかけられた一台の話があります。

本について →

本の該当箇所:第14章 第1〜4節、第8章 第1節

次に読む