マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 03 動いてくれないテーマ:約束と商品読む時間 約8分更新 2026年10月5日

機械は届いたのに、現場が回らないのはなぜか

三行で言うと
  1. 顧客が欲しかったのは、機械そのものより、少ない人数でも現場が回る毎日。困りごとは、品物のまわりで起きやすい。
  2. 約束は、作業の流れに直して、誰が・いつ・何をするかまで決める。止まりやすいのは、人から人へ仕事が渡る継ぎ目。
  3. 提案と負担は、同じ紙に置く。その流れは、誰の仕事を何日増やすのか。

1注文どおりに納めたのに

注文どおりの機械を、約束の日に、きちんと動く状態で納めた。ひと月後、現場の隅でカバーをかけられていた。教わった人が異動し、残った人は使い方が分からず、消耗品の頼み先も分からず、機械までの動線が人の動きとぶつかっていた。

落ち度はないように見えます。けれども、顧客が欲しかったのは機械そのものより、少ない人数でも現場が回る、という毎日でした。誰かの怠慢ではなく、ひと月後を誰の仕事にもしていなかった、それだけのことです。どこで「終わり」と数えるかを、社内で合わせます。

2商品を三つの層で見る

  • 手に入れたい結果 少ない人数で、現場が毎日回ること
  • 品物そのもの 本体、性能、大きさ、使い勝手
  • 品物のまわり 導入、使い方の説明、消耗品の届け方、点検、修理、困ったときの相談先
顧客の困りごとは、品物のまわりで起きやすい (本の図8-1)PNGSVG

会社の目は真ん中の層に向きますが、顧客の困りごとが起きやすいのは、外側の層です。 いつも外側とは限りません。本体の問題で使われなくなることもあり、そのときに直すのは真ん中です。

3約束を、作業の流れに直す

「製造を止めずに入れる」は、言葉にすれば一行です。毎回本当にするには、顧客の動きを時間の順に並べ、その下に会社の側の作業を、顧客に見える仕事と見えない仕事に分けて書きます。

時期顧客の動き見える仕事見えない仕事顧客にとっての意味
契約の前現場を見せる下見。搬入口、床、電源、今のやり方を残せるか下見の結果を決まった用紙で残す「当日に入らない」不安が減る
二週間前休業日を伝える設置の日と予備の日を書面で渡す技術者の日程を予備日も含めて押さえる製造の予定を組める
設置の日立ち会いは一人運びこみ、設置、試運転。今のやり方は残す終わらなければ予備の日に終わらなくても、製造は続く
次の朝いつもどおり出勤全員に、三つの操作を教える。手順を壁に貼る教える内容を三つに絞っておく誰かが休んでも困らない
ひと月後困りごとを話す様子を見る。消耗品の届け方を決める聞いた困りごとを開発と営業に回す使い続けられる

(業務用の洗浄機の例)

この表は、一人で書きません。作業の欄は技術者の言葉で、マーケティング担当者が受け持つのは右端の「顧客にとっての意味」の列です。約束を言葉にした人がこの表から手を離すと、約束は現場で少しずつ欠けていきます。

4約束は、継ぎ目で欠ける

約束は、継ぎ目で欠ける (本の図8-2)PNGSVG

止まりやすいのは、人から人へ仕事が渡るところです。営業が下見で見たことが、技術者に伝わっていない。メーカーと代理店のあいだで、消耗品を届けるのがどちらか決まっていない。表の中で担当が変わるところに印をつけ、何を、どんな形で渡すのかを決めます。

継ぎ目では、言うことも食い違いやすくなります。営業が「休みの日に終わります」と言い切ったのに、当日、技術者が「場合によっては二日かかります」と言う。予備の日を先に伝えてあれば、同じ二日めでも、約束のうちです。

5その流れは、誰の仕事を何日増やすのか

表ができると、技術者は聞きます。「それ、年に何日だ」。

増える仕事誰の一件につき
下見の同行技術者半日
次の朝の立ち会いと説明技術者一日
ひと月後の様子見(決める)半日
下見の日取りと立ち会い販売パートナーの担当者半日

提案と負担は、同じ紙に置きます。 答えを用意していない提案は、日数を聞かれたところで止まります。収まるかどうかは件数で決まるので、対象を先に決め、たとえば「次の三件だけ」で、流れが回るかを見ます。

やりがちな間違い

納品で「終わり」と数える。使われて終わり、を約束にするなら、ひと月後を誰かの仕事にします。
約束の言葉だけ決めて、流れを現場に任せる。欠けた約束を広告で伝えるほど、がっかりする人が増えます。
負担を書かずに提案する。最初に聞かれるのは、日数です。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんは、作業の流れの表を、技術者の大西さんと、カバーをかけられた一件を振り返りながら書きました。「下見は、誰が行くんだ」「次の朝も行くのか」。教える操作を三つに絞れば三十分で済み、壁に貼る紙があれば、あとで入った人にも見せられる。対象は人手が足りない工場だけ、まず次の三件だけで始めることを、大西さんと営業部長と決めました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

手に入れたい結果少ない人数で洗い場が回る
起きやすい継ぎ目営業→技術者、メーカー→代理店(洗剤)
次の朝にあたる場全員に三つの操作

B社 建材

手に入れたい結果工期どおりに、手間なく施工できる
起きやすい継ぎ目販売店→職人(施工の注意)
次の朝にあたる場最初の現場での施工の立ち会い

C社 業務用のソフト

手に入れたい結果受注の作業が、担当者に頼らず回る
起きやすい継ぎ目営業→導入の担当、導入の担当→使う人
次の朝にあたる場使い始めの日の画面の説明

D社 計測の機器

手に入れたい結果検査が、決まった時間で回る
起きやすい継ぎ目商社→技術者、技術者→検査員
次の朝にあたる場最初の測定の立ち会い

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1顧客の困りごとが起きやすいのは、商品の三つの層のどこでしょうか。答えを見る

一番外側の「品物のまわり」(導入、使い方の説明、消耗品の届け方、相談先など)。ただし本体の問題のときは、真ん中を直します。

問2約束を作業の流れに直した提案を出すとき、一緒に置くものは何でしょうか。答えを見る

負担。誰の仕事が、一件につき何日増えるか。

やってみる

自分の会社の一件で

型04 三者で比べる

型4「三者で比べる」。約束を一つ選び、作業の流れに直したときに、自社・販売パートナー・顧客のそれぞれで増える仕事と、受け取るものを並べます。担当が変わる継ぎ目に印をつけ、何を、どんな形で渡すかを書きます。

  • 何を決めたいか
  • 案ごとに比べる
  • やめ方
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本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第8章。作業の流れの表ができると、技術者の大西さんは最初にこう聞きました。

「それ、年に何日だ」

本について →

本の該当箇所:第8章 第1・2・4・5節

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