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壁 02 決まらないテーマ:優先順位と計画読む時間 約7分更新 2026年10月5日

「何もしない」を、なぜ選択肢に入れるのか

三行で言うと
  1. 今のままでも売れている分がある。「何もしない」を一列に入れると、施策の効き目を「今より、どれだけ」で比べられる。
  2. 比べる前に、一番足りないものを数える。お金とは限らない。人の時間のことが多い。
  3. 表に点数をつけない。見込みは幅で書き、ほかの施策の土台になるかで順番を決める。

1一番足りないものから数える

施策を比べる前に、制約を見ます。全体の出来高は、一番狭いところで決まります。そこ以外をいくら速くしても、全体は速くなりません。

足りないものの候補は、お金だけではありません。

  • 新しく使える予算
  • 営業の時間
  • 技術者の日数
  • 販売パートナーの担当者の時間

業務用の洗浄機のメーカーで数えてみます(数字は仮定)。予算は350万円で、二つの案は合わせて350万円。お金だけなら両方できます。ところが、両方をやって両方が当たると、下見と設置で技術者の日数が56日要り、空きの40日を16日超えます。注文が来ても、入れられません。

予算に収まっても、人の時間を超える (本の図15-2)PNGSVG

先に尽きるのは、お金ではなく、人の時間でした。 ここを見ずに広告だけを増やすと、返事が遅れ、下見は急ぎ足になり、約束を守れなかった話が販売パートナーを通じて広まります。施策の量は、やりたいことからではなく、一番狭いところが受けきれる量から決めます。

2「何もしない」を一列に入れる

何かを選ぶと、その人と時間とお金で、できたはずの別のことができなくなります。選ばなかったものの価値が、選んだものの見えない費用です(機会費用)。「良いことかどうか」で考えると、一覧のすべてが良いことです。「これをやるかわりに、何をあきらめるのか」で考えて、はじめて順番の話になります。

そこで、比べる表に「何もしない」の列を必ず入れます。今のままでも、売れている分があるからです。

観点何もしない増やす案減らす案
目標への効き目の見込み今のままうまくいけば+4台。中身が薄まれば+1〜2台仮説どおりなら+4台。半分当たりなら+2台
見込みの確からしさ高い低い(確かめた根拠が少ない)中くらい(数社の声)
新しくかかるお金なし年に300万円ほど50万円ほど
使う人と時間なし営業の対応が増える技術者の日数を施策と設置に
誰が決められるか—社長。展示会は申し込むと戻れない一部は担当者が進められる
結果が分かるまで—媒体で違う(数週間〜半年以上)三か月から半年
外れたとき、残るものなしどこから引き合いが来るかの知識資料、設置の流れ、見送りの理由の理解
引き返せるかいつでも始められる広告はやめられる。展示会は戻れないいつでも直せる
ほかの施策への影響なし引き合いが増えても、止まる割合は変わらない止まる割合が下がれば、増やす案の効き目も上がる

(数値はすべて仮定)

3点数をつけない。見込みは幅で

この表には、点数をつけません。 点も、観点ごとの重みも、つけた人の感覚です。「3.8点と3.4点」と出すと、小数点のぶんだけ確かな判断に見えてしまいます。見込みを幅で書くのも同じ理由です。一つの数字で書くと、それが約束のように扱われます。

4土台になるほうを先に

一番の手がかりは、表の最後の行、ほかの施策への影響です。止まる割合を下げる施策のあとで入口を広げると、同じ広告の効き目が大きくなります。逆の順だと、呼びこんだ人が同じ場所で止まります。

施策には、ほかの施策の土台になるものがあります。 土台になるほうを先にやり、上に載せるほうは、土台の効き目と、受けきれる量を確かめてから広げます。

やりがちな間違い

予算に収まれば、全部やる。先に尽きるのは、人の時間かもしれません。
「何もしない」を比べない。施策の効き目が、今と比べてどれだけかが分からなくなります。
点数や、一つの数字の見込みで決める。確かさの違いが消え、見込みが約束にすりかわります。

A社の場合

架空の会社の例

A社では、新しい予算350万円で二つの案は両方できる計算でした。けれども、技術者が新しいことに使える日数は、二人で年に40日ほど。両方が当たると、注文が来ても入れきれないと分かりました。A社は、前半の半年は見送りを減らす案に集中し、新しい広告の300万円は使わずに取っておくと決めました。半年後に、契約に進む割合、技術者の日数の空き、値引きで決めた契約が増えていないか、の三つを見て、広告を始めるかを決め直します。「両方を少しずつ」は退けました。分けると、半年後にどちらも結果が読めなくなるからです。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

先に尽きそうなもの設置と点検の技術者の日数
「何もしない」の列に書くこと今の台数
土台になりそうな施策総額の表つきの見積書、設置の流れ

B社 建材

先に尽きそうなもの施工の説明に回る技術営業の時間、販売店の担当者の時間
「何もしない」の列に書くこと今の採用件数
土台になりそうな施策施工の手順と工期の資料

C社 業務用のソフト

先に尽きそうなもの導入を支える担当者の時間
「何もしない」の列に書くこと今の契約数と解約数
土台になりそうな施策移行の手順と、二年めの料金の見せ方

D社 計測の機器

先に尽きそうなもの据え付けと校正の技術者の日数
「何もしない」の列に書くこと今の販売台数
土台になりそうな施策校正まで入れた費用の見せ方

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1二つの案が、どちらも予算に収まっています。両方やってよいかを決める前に、何を数えるとよいでしょうか。答えを見る

一番足りないもの。お金以外に、営業の時間、技術者の日数、販売パートナーの担当者の時間のどれが先に尽きるかを数えます。

問2比べる表に点数をつけないのは、なぜでしょうか。答えを見る

点も重みも、つけた人の感覚だからです。小数点のぶんだけ確かな判断に見えてしまい、確かめた評価と推測の違いも消えます。

やってみる

自分の会社の一件で

型12 一つの計画

型12「一つの計画」。候補の施策を二つ選び、「何もしない」と並べて三列にします。効き目の見込みは幅で、引き返せるか、ほかの施策への影響まで書きます。表の上に、自分の会社で一番先に尽きるものを一行書きます。

  • 戦略
  • 目標
  • 課題と仮説
  • 施策と「なぜなら」
  • お金と人
  • 見るもの
  • やらないこと(いつまで)
  • 決める前に見せた記録
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第15章。二つの案を同じ表に並べたあと、A社は誰が決められるかで施策を分け、「先にやる一つ」と「やらないこと」を決めます。やらないことに、いつまでかを入れるのも、この章です。

本について →

本の該当箇所:第15章 第4・5節

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