マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 05 読めないテーマ:試して読むテーマ:代理店・販売店読む時間 約8分更新 2026年10月5日

「全部の代理店に配る」前に、どう小さく試すか

三行で言うと
  1. 全部に配って一年待つと、数字が良くなっても、配ったおかげかは分からない。外れたら、一年が終わる。大きく賭ける前に、小さく試す。
  2. 試し方は四つ。見せる/使ってもらう/限って使う/分けて比べる。答えられることが違う。
  3. 決めたいことを、試す期間のうちに答えが出る大きさまで小さくする。判断の重さに、証拠の重さを合わせる。

1「全部に配れ。早いほうがいい」

新しい資料と見積書ができた。「全部の代理店に配れ。早いほうがいい」。気持ちは分かります。

ただ、全部に配って使われなかったら、資料のせいか頼み方のせいか、分からなくなります。一度出すと戻しにくいもの(見積書の様式など)もあります。全部に配って一年待てば数字は手に入りますが、良くなっても、配ったおかげなのかは、そのやり方だけでは分かりません。

大きく賭ける前に、小さく試します。 目的は、学ぶことです。問いかけを「うまくいくだろうか」から、「何が分かれば、次の判断に進めるだろうか」に置きかえます。

2四つの試し方

試し方が違えば、分かることが違う (本の図16-1)PNGSVG
試し方分かること分からないこと
見せる(仕上げる前の案を、使う人に見せる)伝わるか、どこで止まるか実際に使うか、買うか
使ってもらう(限られた相手に実際に)使われるか、どこで止まるかお金を払ってもらえるか
限って使う(場所や期間を区切って)実際の流れで回るか変えたことが効いたのか
分けて比べる(相手を二つに分け、片方だけ変える)変えたことが効いたのか件数がないとできない

下にいくほど手間はかかりますが、上のものの代わりにはなりません。上の二つは速く回せます。下書きを見せるのに週をまたがず、止まったところを直して翌週もう一度見せる。手間のかかる試しに何か月もかけるのは、こうした速い試しで、伝わらないところをつぶしてからです。

下書きを AI に頼めば、見せる試しはもっと速く回ります。ただし、AI に「相手ならどう思うか」を答えさせても、それは試しにはなりません。反応は、実際の相手からしか取れません。

3小さくする方法

  • 相手を絞る:五社のうち二社で。協力的な一社だけにしない
  • 期間を切る:三か月と決めて
  • 中身を削る:仕組みをつくる前に、紙一枚と電話で

限って使うときは、見る数字を並べます。見積もりから契約に進む割合だけを見ていると、見積もりを出す件数が減っただけで割合は上がり、うまくいったように見えます。引き合い、下見、見積もり、契約の件数を、並べて見ます。

4決めたいことを、小さくする

「新しい資料で、契約の割合が上がるかを確かめる」。三か月で見積もりが三件ほどなら、これには答えが出ません。そこで、決めたいことを書き直します。

「この三つを、このまま残りの代理店に渡してよいか。直すなら、どこか」

決めたいことを、試す期間のうちに答えが出る大きさまで、小さくします。 契約が増えるかは三か月では分かりませんが、このまま広げてよいかは、三か月で分かります。

判断の重さに、証拠の重さを合わせます。資料を配る判断は、費用が小さく、やり直せる。だから、実行できたか・障壁はどう変わったか、の証拠で足ります。広告に大きな額を出す判断は重いので、もっと待ちます。軽い判断から、先に進めます。

5代理店に頼む

試しの実行は、代理店の担当者の手の中にあります。頼み方を先に決めます。

  • 目的:何を決めたいのか
  • 頼むこと:一つの場面に絞る(初回の訪問で資料を渡し、決めた順で話す。下見の前の五分の電話)
  • かかる時間
  • 戻すもの:三か月後に結果を持って報告に行く。止まった理由を共有する
  • やめ方:使いにくければ、言ってほしい

書く仕事は頼みません。聞いて書くのは、こちらです。「試しているのは資料で、担当者の方ではない」も、先に言います。代理店の社長に先に話を通し、それから担当者に、の順で伝えます。

下見の前に技術者へ渡すメモ。条件の欄が空なら、下見はまだ早い (本の図16-3)PNGSVG

やりがちな間違い

全部に一度に配る。外れたとき、何が悪かったのかが分かりません。
試しやすさで、何を試すかを決める。広告の文面の比べっこは手軽ですが、止まっている理由が商品や価格にあるなら、試すのはそちらです。
契約が増えるかを、三か月で確かめようとする。期間のうちに答えが出る問いに、書き直します。

A社の場合

架空の会社の例

A社は、新しい資料、総額の表つきの見積書、下見の前の技術者向けメモの三つを、代理店二社の案件だけで三か月試しました。段取りを知っていた担当者の代理店と、知らなかった担当者の代理店です。営業部長は自分の部下にも「新しい見積書は、三か月は待て。二社の試しが読めなくなる」と言いました。引き受けた担当者の一人は、「ただ、説明の順を変えるのは、お客さんによります」と言い、その一言は記録に残しました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

配りたくなるもの資料、総額の表つきの見積書
小さく試す範囲(例)代理店二社の案件で三か月
三か月で答えが出る問いこのまま残りの代理店に渡してよいか

B社 建材

配りたくなるもの施工の手順書、試算の様式
小さく試す範囲(例)販売店二社の現場で三か月
三か月で答えが出る問いこのまま残りの販売店に渡してよいか

C社 業務用のソフト

配りたくなるもの移行の手順書、試算の様式
小さく試す範囲(例)代理店一社の商談で三か月
三か月で答えが出る問いこのまま残りの代理店に渡してよいか

D社 計測の機器

配りたくなるもの校正まで入れた見積書の様式
小さく試す範囲(例)商社一社の引き合いで三か月
三か月で答えが出る問いこのまま残りの商社に渡してよいか

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「見せる」試しと「使ってもらう」試しで、分かることの違いは何でしょうか。答えを見る

見せると、伝わるか・どこで止まるかが分かります。使ってもらうと、実際に使われるか・どこで止まるかまで分かります。どちらも、お金を払ってもらえるかは分かりません。

問2三か月の試しで、決めたいことを「契約の割合が上がるか」から何に書き直しましたか。答えを見る

「このまま残りに渡してよいか。直すなら、どこか」。期間のうちに答えが出る大きさにしました。

やってみる

自分の会社の一件で

型10 小さく試す計画

型10「小さく試す計画」。配りたいものを一つ選び、四つの試し方のどれで、誰と、何か月試すかを書きます。決めたいことは、その期間で答えが出る一文に書き直します。協力者への頼みごとは、目的・頼むこと・時間・戻すもの・やめ方の五つで書きます。

  • 決めたいこと
  • もとになる仮説と、正しければ見られるはずのこと
  • 変えること
  • 対象と期間
  • 協力者と負担
  • 見るもの(三段)
  • この試しでは確かめられないこと
  • 途中でやめる条件
  • 報告の約束
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第16章。資料ができたとき、営業部長は言いました。

「一枚と見積書は、できたんだろう。五社全部に配れ。早いほうがいい」

本について →

本の該当箇所:第16章 第1・3・4・6節

次に読む