マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 05 読めないテーマ:試して読む読む時間 約7分更新 2026年10月5日

件数が少ないとき、割合で言ってよいか

三行で言うと
  1. 少ない件数の割合は、何も変わっていなくても大きく揺れる。人は、この揺れを小さく見積もりがち。
  2. 年に数十件の商売では、目標どおりの数字が出ても、割合だけで「効いた」とは言いにくい。
  3. だから、種類の違う材料(実行の数、止まった理由の変化、相手の言葉、負担、採算)を重ねて、同じ向きを指しているかで決める。

1何も変えていなくても、これだけ揺れる

社名のない算数から始めます。見積もりが契約になる見込みが、ちょうど五分五分だとします。それでも、十件のうち五件ちょうどになるのは、四回に一回ほど。三件以下か七件以上になることが、三回に一回ほどあります。

何も変えていなくても、十件ではこれくらい揺れます。 人は、少ない数の結果でも全体の姿をよく映しているはずだ、と思いこみがちです。統計の訓練を受けた研究者でさえそうだった、という報告があります。

2三件中二件の「七割」

見積もり三件につき契約一件、という会社で考えます。試しの三か月で、三件のうち二件が決まった。「七割だ」と言いたくなります。

仮に出たとする数字何も変わっていなくても、これ以上になる見込み
見積もり3件のうち契約2件四回に一回ほど
見積もり13件のうち契約6件四回に一回ほど
見積もり24件のうち契約12件十五回に一回ほど

(割合が三件に一件のままだと仮に置いた場合。数字は説明のためのもの)

何も変わっていなくても、これだけ揺れる (本の図17-2)PNGSVG

一年たって目標どおりの数字が出ても、何も変わっていなくても十五回に一回は出る数字です。効いたと考えて矛盾はしませんが、証明とは呼べません。

逆の見落としもあります。本当に良くなっていても、少ない件数では目標に届かないことがあります。数字が動かなかったからといって、効かなかったとも言えません。 同じ販売パートナー、同じ時期の案件は似た動きをするので、実際の揺れは計算より大きいと思っておきます。

3この見込みは、何の確率でもない

「何も変わっていなくても、これ以上になる見込み」は、「効き目がない確率」でも、「この差がたまたまである確率」でもありません。効き目がないと仮に置いたとき、めぐり合わせだけで、その数字以上が出る見込みです。

一つの数字が、ある線を超えたかどうかだけで、事業の判断を下すべきではない、という考え方もあります。「二十回に一回を下回れば本物」という線が、世の中にあるわけではありません。

4件数を足せばいい、ではない

数が増えると、揺れは小さくなります。ただ、結果を見たあとで、差がはっきりするまで件数を足していく、という話にはなりません。良い数字が出たところで止められるやり方は、たまたまの上振れを拾いやすいからです。「もう三か月、様子を見ましょう」は、判断日を決めずに言う言葉ではありません。続けるなら、期間・数・見るもの・判断の条件を、もう一度先に書きます。

5その差に、仕事としての意味はあるか

「たまたまではなさそうだ」と「やる価値がある」は、違います。価値があるかは、差の大きさ、相手の数、一件あたりの利益を掛けたものと、かかる手間との見比べで決まります。

数が少ないときは、平均にも気をつけます。平均は、かけ離れた一つに引っぱられます。四件の下見のうち一件だけ一日かかったなら、平均より、並べたときの真ん中の一件(半日)と、その一件の中身を見ます。

やりがちな間違い

三件、四件の結果を、割合で語る。一件で、割合は大きく動きます。件数と中身で語ります。
良い数字が出るまで続ける。止めどきを先に決めないと、上振れを拾います。
数字が動かなかったから、効かなかったと決める。少ない件数では、効いていても届かないことがあります。

A社の場合

架空の会社の例

A社の営業部長は、試しの計画を見て言いました。「二社で三か月なら、見積もりは3件くらいだぞ。1件決まれば三割、2件決まれば七割だ。それで、何が言えるんだ」。言うとおりでした。A社は、契約の割合で判定するのをやめ、三か月で答えが出る問い(このまま広げてよいか)に絞りました。そして、実行の数、止まった理由、相手の言葉、技術者の日数、採算を重ねて決めました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

少なくなりがちな件数年に数十件の見積もり
割合のかわりに重ねる材料実行の数、止まった理由、相手の言葉、技術者の日数

B社 建材

少なくなりがちな件数一つの販売店からの採用件数
割合のかわりに重ねる材料手順書が使われた現場の数、職人の声、工期

C社 業務用のソフト

少なくなりがちな件数一つの代理店からの契約数
割合のかわりに重ねる材料試算を出した件数、止まった理由、導入の手間

D社 計測の機器

少なくなりがちな件数年に数十件の引き合い
割合のかわりに重ねる材料試しの測定の件数、止まった理由、技術者の日数

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1見積もり三件のうち二件が契約になりました。これで「効いた」と言えるでしょうか。答えを見る

言えません。割合が三件に一件のままでも、四回に一回ほどは出る数字です。実行の数や止まった理由の変化など、別の材料と重ねて読みます。

問2結果が思わしくないので、「もう三か月続けて様子を見よう」と言われました。何を先に決めますか。答えを見る

期間、数、見るもの、判断の条件。判断日を決めずに続けると、良い数字が出たところで止めてしまいやすくなります。

やってみる

自分の会社で

いま見ている割合の数字に、分母(何件のうちか)を書き添えてください。分母が二十件より少ないなら、割合の横に、件数と、一件ずつの中身(相手の言葉)を並べます。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第17章。この節の算数は、言い訳のためではなく、三か月後に「で、何台売れたんだ」と聞かれたときの備えとして出てきます。

本について →

本の該当箇所:第17章 第4・6節、第16章 第4節(表16-1)

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