マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 05 読めないテーマ:試して読む読む時間 約7分更新 2026年10月5日

判断の条件を、なぜ結果を見る前に書くのか

三行で言うと
  1. 結果を見てからだと、人はどんな結果にも、もっともらしい説明をつけられる。
  2. 「正しければ、何が見られるはずか」まで書いた仮説と、「こうなら広げる・直す・広げない」の線を、結果を見る前に件数で書く。
  3. 条件は、判断日まで動かさない。指標は、次の期間から、理由と新旧の定義を残して変える。

1結果を見てからの説明は、何にでもつく

差が小さくても「手応えはあった」。差が出なくても「時期が悪かった」。結果を見てから判断の線を引くと、どんな結果にも、もっともらしい説明がつきます。研究の世界でも、結果が分かってから仮説を組み立て直し、はじめからそう考えていたかのように報告することが、問題になっています。

先に書いた条件は、あとの自分たちへの歯止めです。

2確かめられる形に、仮説を書く

試しには、様子を見にいく試し(探索)と、仮説を確かめにいく試し(検証)があります。二つは混ぜません。確かめるつもりで始めたのに、結果が思わしくないと、「いろいろ分かったから」と見にいく試しだったことにしてしまうからです。

確かめる試しには、「もし正しければ、何が見られるはずか」まで書いた仮説が要ります。

  • 「新しい資料は良い資料だ」→ 何が見られたら正しいのかが決まっていない。仮説になっていない
  • 「止まっている理由は、毎年の費用が読めないことと、導入で止まる不安だ。正しければ、新しい見積書を出したあと、この二つの理由は出なくなるはず」→ 確かめられる

3線を、件数で書く

何について広げる直してから広げる広げない
資料初回の訪問で渡されたのが、全件か一件を除く全部二回めまでに渡されたのが、半分を超える二回めまでに渡されたのが、半分以下
総額の表つきの見積書見積もりの全件についているついていない見積もりがある—
障壁見積もりのあとで、前と同じ理由が出たのが一件以下二件以上で出た。中身を直す—
人の負担下見が、平均で一件一日以内—一件一日を超えた

(業務用の洗浄機の例。六件ほどの試しで)

割合ではなく、件数で書きます。 六件のうちの「八割」は、一件で大きく動くからです。障壁にも条件を置きます。道具が全部配られても、顧客が前と同じ理由で止まっていたら、広げる意味がありません。

三段は、一本の筋でつながっている (本の図16-2)PNGSVG

4ほかの歯止め

  • 対象を、選ばせない。 協力者が「この案件には使おう」と選ぶと、もともと決まりそうな案件にだけ使われる。期間中に来た全部を対象にする
  • 実行できたかは、自己申告だけで数えない。 記録で数える、控えで数える、日付で数える、と決めておく
  • 止まった理由は、同じ人が、同じ質問で聞く。 売った本人が聞くと、答えは「価格」に寄る

5条件は動かさない。指標は記録を残して変える

結果を見て、満たさなかった条件の線を、あとから動かしたくなることがあります。「メモは、条件の欄が埋まっていなくても、届いていればよかったことにしよう」。そうすると、先に条件を書いた歯止めを、自分で外すことになります。記録には、「満たさなかった」とそのまま書きます。

一方で、やってみて初めて、数えるべきものが分かることもあります。「資料を渡した数」ではなく「決める人に届いた数」を数えるべきだった、など。指標を見直すのは、学びのうちです。ただし、変えた前とあとを、同じ成果として並べません。 変えた理由、変えた日、新旧の定義、これまでの定義での数字を残します。良く見える指標へのすりかえと、学びによる見直しの違いは、記録が残っているかどうかです。

やりがちな間違い

結果を見てから、判断の線を引く。どんな結果にも説明がつきます。
割合で条件を書く。少ない件数では、一件で線をまたぎます。
満たさなかった条件を、あとから緩める。次の試しでも、同じことが起きます。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんは、試しの一枚に判断の条件を件数で書き、始める前に社長にも見せました。三か月後、事前のメモは条件を満たしませんでした。早川さんは線を動かさず、「満たさなかった」と書いたうえで、線を引いた理由に照らして次を考えました。あわせて、「資料を渡した数」は「決める人が総額の表を見たと確かめられた数」に数え方を変え、変えた日と理由と、これまでの数え方での数字を一行に残しました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

確かめられる仮説(例)総額が読めれば、見積もりのあとで止まる理由が変わる
件数で書く線の例前と同じ理由が出たのが一件以下

B社 建材

確かめられる仮説(例)施工の手間が見えれば、採用されない理由が変わる
件数で書く線の例施工の手間を理由にした不採用が一件以下

C社 業務用のソフト

確かめられる仮説(例)移行の手間と二年めの費用が見えれば、契約の手前で止まらなくなる
件数で書く線の例移行を理由にした見送りが一件以下

D社 計測の機器

確かめられる仮説(例)校正まで入れた費用が見えれば、試しの測定のあとで止まらなくなる
件数で書く線の例校正の費用を理由にした見送りが一件以下

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「新しい資料は、良い資料だ」。これは確かめられる仮説でしょうか。答えを見る

いいえ。正しければ何が見られるはずかが書かれていません。「この資料を使えば、前と同じ理由で止まる件が減るはず」のように書き直します。

問2結果を見たら、ある条件を少しだけ満たしませんでした。線を緩めてよいでしょうか。答えを見る

緩めません。「満たさなかった」と記録し、線を引いた理由に照らして次を考えます。数える物を変えるなら、次の期間から、理由と新旧の定義を残して変えます。

やってみる

自分の会社の一件で

型10 小さく試す計画

型10「小さく試す計画」。決めたいこと、仮説と「正しければ見られるはずのこと」、そして「広げる/直してから広げる/広げない」の線を、件数で書きます。書いた日付を入れて、始める前に、決める人に見せます。

  • 決めたいこと
  • もとになる仮説と、正しければ見られるはずのこと
  • 変えること
  • 対象と期間
  • 協力者と負担
  • 見るもの(三段)
  • この試しでは確かめられないこと
  • 途中でやめる条件
  • 報告の約束
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本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第16章・第17章。試しの一枚に入れた五つの歯止めと、三か月後の判断日に、満たさなかった条件をどう扱ったかが出てきます。

本について →

本の該当箇所:第16章 第2・5節、第17章 第6・7節

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