1一緒に動いた、だけかもしれない
施策を始めてから、数字が良くなった。それは施策が効いたからでしょうか。二つのものが一緒に動いていることと、片方がもう片方を動かしたことは、別のことです。
2五つの別の説明
| 別の説明 | 確かめること |
|---|---|
| 顔ぶれ | 紹介で来た案件や、前から付き合いのある相手が多くなかったか |
| 時期 | 繁忙期の前か、あとか。前の年と同じ時期か |
| 支援の量 | 試した相手に、ふだんより手厚くついていなかったか。広げても同じようにつけるか |
| 同じ時期に変えたこと | 営業の担当、価格の出し方、ほかの施策 |
| 数え方 | 数える基準が変わっていないか |
最後の行は、見落とされやすいものです。たとえば、下見で「設置できない」と分かった案件に見積もりを出さなくなれば、見積もりの件数が減り、見積もりから契約への割合は上がります。良くなったのではなく、数え方が変わったのです。
3比べる相手の強さ
「前は三件に一件、今は二件に一件」と言いたくなります。ただ、前とあとを比べるだけでは、変えたことの効き目なのか、ほかの理由なのか、見分けがつきません。そのあいだに世の中で別のことが起きたのかもしれない。相手がひとりでに変わったのかもしれない。顔ぶれが違うのかもしれない。
| 比べる相手 | 強さ | 使うときの断り |
|---|---|---|
| 同じ時期に、くじで分けた相手 | 強い | 件数がある場面の方法(広告の表示や文面など) |
| 同じ時期の、変えていない相手 | 中 | 顔ぶれが違う。試した相手は自分で選んでいる |
| 前の年の同じ時期 | 弱い | 世の中の変化、顔ぶれ、数え方の変化が混ざる |
| 比べる相手なし | — | 良い数字かどうかが分からない |
前の年との比較は、営業の会議ではふつうの見方です。否定しません。顔ぶれ、時期、数え方が同じかを確かめてから、弱い比べ方を、弱いと知ったうえで使います。 先に一部の相手で始めておけば、残りの相手が「同じ時期の、変えていない相手」になります。
4強い一言に、引っぱられない
試しの中で、「五年の表を、そのまま社長に見せた」のような強い一言が出ることがあります。数件の試しでは、一番効く材料です。一方で、一件の強い言葉に引っぱられてもいけません。聞けた件数を、分母に書きます。 本人に聞けたのが三件なら、そのうちの一件の言葉です。誰の言葉かも分けます。又聞きには、間に入った人の読みが混ざっているかもしれません。
やりがちな間違い
A社の場合
架空の会社の例
A社の三か月の試しでは、五つを当てると、こうなりました。顔ぶれは、六件では比べられないので記録だけ。時期は、「繁忙期が明けてから」が二件あり、繁忙期を聞いていなかった。支援の量は、試しの二社に手厚くついていた。同じ時期に、去年の名刺への電話も始めていた。数え方は、下見で断った一件に見積もりを出していなかった。マーケティング課長の早川さんは、これを事実の欄に書いてから、解釈に進みました。
ほかの業種なら
A社 業務用の洗浄機
| 顔ぶれの偏りの例 | 紹介で来た工場が多い |
|---|---|
| 時期の例 | 繁忙期の前後 |
| 数え方の変化の例 | 下見で断った件に見積もりを出さない |
B社 建材
| 顔ぶれの偏りの例 | 付き合いの長い工務店が多い |
|---|---|
| 時期の例 | 着工の多い時期 |
| 数え方の変化の例 | 現場の確認で断った件を数えない |
C社 業務用のソフト
| 顔ぶれの偏りの例 | 既存の取引先の紹介が多い |
|---|---|
| 時期の例 | 決算の前、年度の切りかえ |
| 数え方の変化の例 | 聞き取りで外れた会社に見積もりを出さない |
D社 計測の機器
| 顔ぶれの偏りの例 | 前から使っている工場が多い |
|---|---|
| 時期の例 | 設備の予算を組む時期 |
| 数え方の変化の例 | 試しの測定で外れた件を数えない |
A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。
理解を確かめる
問1見積もりから契約に進む割合が上がりました。数え方の変化として、何を疑いますか。答えを見る
見積もりを出す基準が変わっていないか。手前で断る案件が増えると、見積もりの件数が減り、割合だけが上がります。
問2前の年の同じ時期と比べるのは、だめでしょうか。答えを見る
だめではありません。ただし弱い比べ方なので、顔ぶれ・時期・数え方が同じかを確かめ、弱いと断ったうえで使います。
やってみる
自分の会社の一件で
型11 結果の報告
型11「結果の報告」の「まだ仮説のこと」の欄に入る前に、五つの別の説明(顔ぶれ、時期、支援の量、同じ時期に変えたこと、数え方)を一行ずつ書きます。当てはまるものがあれば、事実の欄に移します。
- 一件ずつ(一件を一行)
- 上1 事実(分母つき)
- 上2 計画どおりにできなかったこと
- 上3 先に決めた条件との照らし合わせ
- 別の説明
- 下1 分かったこと
- 下2 まだ仮説のこと
- 下3 次に誰が何を確かめるか
本では
本では 『選ばれる理由のつくり方』
この話が、人のあいだでどう進んだか。
第17章。三か月の数字を前に、A社は五つの別の説明を一つずつ当てます。比べる相手の強さの表は、第16章にあります。
本について →本の該当箇所:第17章 第5節、第16章 第4節(比べる相手)