マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

はじめに読む 02テーマ:顧客を知る読む時間 約8分更新 2026年10月5日

顧客は、選ぶまでに何を確かめているか

三行で言うと
  1. 顧客が選ぶかどうかは、六つの問いに分けて点検できる。関係・効果・対価・入手・信頼・継続。
  2. 順番に確かめているわけではない。どこか一つで大きく止まれば、話はそこで進まなくなる。
  3. 六つの手前に「入口」がある。必要になったとき、名前が挙がるか。比べる相手には、いつも「いまのまま」が入っている。

1六つの問い

問い顧客が確かめていること
関係自分に関係のある話か
効果何がよくなるのか
対価払うお金と手間に見合うのか
入手無理なく買い、導入できるのか
信頼信じてよいのか
継続使ってよかったか。使い続け、次も選ぶか
六つの問い (本の図1-4)PNGSVG

自分が買う側になった場面で考えると、分かりやすくなります。会社の複合機の入れ替えを任されたとします。紙詰まりが増えて、初めて案内が自分の話になる(関係)。止まらなくなる、スキャンが速くなる(効果)。リース料とトナー代で月々いくらか、入れ替えの日に仕事はどれだけ止まるか(対価)。納品はいつで、設定は誰がやるのか(入手)。故障したら、販売店はすぐ来てくれるのか(信頼)。次の入れ替えでも、同じところに頼むか(継続)。

2順番ではなく、止まる場所を見る

数えながら確かめている人はいませんし、順番も決まっていません。それでも、どこか一つで大きく止まれば、話はそこで進まなくなります。 上司に「まだ使えるだろう」と言われれば関係で止まり、月々の費用が今より上がるなら対価で止まります。

止まり方には重さの違いもあります。答えがなければ話が終わる問いと、ほかの良さで補える問いです。

使うときの注意が二つあります。

  • 六つの問いは点検のための枠です。顧客がこの順に進む、という法則ではありません。
  • 一つの気がかりが、二つ以上の問いにまたがることがあります。「設置で何日止まるのか」は、対価にも入手にも関わります。

3同じ会社の中でも、人によって止まる場所が違う

見積もりのあとで返事をしなくなった工場を、二人の目で見ると、こうなります。

問い工場長顧客の社長
関係○ 洗い場の人手が足りない× 「いまのままで回っている」
効果○ 洗う時間が短くなる?
対価× 毎年の費用と、止める日数が分からない?
入手× 設置の段取りが分からない?
信頼× 故障したとき、誰が動くのかが分からない?
継続— まだ買っていない—

○=進んでいる ×=止まっている ?=材料が届いていない

工場長は対価・入手・信頼で止まり、効果はすでに伝わっています。社長は関係で止まり、残りの問いの材料は手元に届いていません。

このとき、効果(洗う時間の短さ)を強く打ち出す広告をつくり直しても、すでに伝わっていることを、もう一度伝えることになります。

4六つの手前の「入口」と、「いまのまま」

六つの問いの手前に、入口があります。設備を入れ替えようと考えたときに、名前が浮かぶか。代理店の担当者が、名前を挙げてくれるか。ここで外れると、六つの問いは始まりません。

BtoB の買い物は、何年かに一度です。ある時点で買う時期にいる会社は一部で、多くは、まだその外にいます。入口は、この「いまは買わない、多くの会社」に向けた仕事でもあります。きっかけが来たときに、最初に名前を思い出してもらえるかどうかです。

もう一つ。顧客が比べている相手は、ほかのメーカーとは限りません。変えない、という選択肢(「いまのまま」)も、いつも候補に入っています。

「いまのまま」には、二つあります。今のやり方で足りていて、本当に急ぐ必要がない場合。変えたいのに、失敗が怖くて決めきれない場合です。六つの問いで言えば、前者は主に「関係」や「対価」で、後者は「信頼」で止まっています。払うもので言えば「不安」です。打つ手が違うので、見送りの記録では、二つを分けて書きます。

54P と重ねて使う

会社が動かせるものの整理として、商品・価格・流通・販売促進の4Pがあります。4Pは会社の側から、六つの問いは顧客の側から見ます。六つの問いで止まっている場所を見つけ、4Pで直すところを探す、と重ねて使います。

六つの問いの点検票 (本の図0-1)PNGSVG

やりがちな間違い

六つを、順に突破させる「段階」として扱う。順番は決まっていません。止まっている場所を探す枠です。
一人の答えで、会社全体を判断する。使う人、検討を進める人、決める人で、止まる場所が違います。
「?」を埋めようとして、推測で○×をつける。「?」と書けることが、この点検の最初の値打ちです。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんが同じ表を書くと、効果の欄に「伝わっているはず」と書けるだけで、残りはほとんど「?」になりました。確かめたわけではないからです。何を確かめにいけばよいのかが、欄の形で見えた、ということでもあります。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

対価(見合うか)で出そうな気がかり洗剤と点検の毎年の費用、止まる日数
入手(無理なく入るか)設置の段取り
決める人の「いまのまま」手で洗い続ける

B社 建材

対価(見合うか)で出そうな気がかり職人が慣れるまでの手間、工期への影響
入手(無理なく入るか)販売店に在庫があるか、施工の説明を誰がするか
決める人の「いまのまま」使い慣れた従来の断熱材

C社 業務用のソフト

対価(見合うか)で出そうな気がかり二年めからの利用料、移行の作業
入手(無理なく入るか)誰が設定し、データを移すか
決める人の「いまのまま」表計算とファックス

D社 計測の機器

対価(見合うか)で出そうな気がかり校正と保守の毎年の費用
入手(無理なく入るか)据え付けと、使い方の説明を誰がするか
決める人の「いまのまま」手作業の測定

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「六つの問いは、関係から順に一つずつ突破させるもの」。正しいでしょうか。答えを見る

正しくありません。順番は決まっていない、点検のための枠です。どこで大きく止まっているかを探すのに使います。

問2工場長には効果が伝わっていて、対価・入手・信頼で止まっています。広告で「速さ」をもっと強く打ち出すと、どうなりそうでしょうか。答えを見る

すでに伝わっていることを、もう一度伝えることになり、止まっている場所は変わりません。毎年の費用、設置の段取り、故障時の対応の答えを用意するほうが先です。

やってみる

自分の会社の一件で

型01 六つの問いの点検

型1「六つの問いの点検」。止まった一件を一つ選び、六つの問いに、○(進んでいる)・×(止まっている)・?(分からない)を入れます。使う人・検討を進める人・決める人で、列を分けます。?が多くても失敗ではありません。そこが、次に確かめにいく先です。

  • 六つの問い × 三つの立場
  • ?の欄を、誰に確かめるか
  • 自分の担当範囲で、先に見られるもの
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本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第1章。A社が六つの問いを手にするところから、第2章で、止まった一件を最初から書き出すところへ進みます。

本について →

本の該当箇所:第1章 第3・4節、付録2(用語集)

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