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壁 03 動いてくれないテーマ:名前を覚えてもらうテーマ:代理店・販売店読む時間 約7分更新 2026年10月5日

買った人の評判はいいのに、新しい顧客が増えないのはなぜか

三行で言うと
  1. 評判がよくても、困ったその日に思い出されなければ、候補に入らない。
  2. 代理店を通じて売る会社では、思い出される順が二段ある。顧客が最初に思い浮かべるのは、メーカーより、毎月来る担当者の顔。
  3. 覚えてほしいことは、社名より場面。少なく決めて、どの接点でも同じように出会ってもらう。

1かばんに入っているのに、名前が出ない

得意先の工場長から、代理店の担当者に電話が入ります。「また一人辞めた。何かいい手はないかな」。担当者が答えたのは、求人サイトの話と、いつも勧めているメーカーの名前。あとで車に戻って、「おたくのカタログも入ってたな」と思い出す。

目の前にあったのに、名前が出ない。くわしく比べてもらう前に、まず思い出してもらえなければ、候補に入ることさえできません。 評判がいいのは、買った人の中での話です。

2ブランドは、相手の頭の中にある

ブランドの価値は、会社の側ではなく、相手の頭の中にある知識から生まれます。「分かる」には二通りあります。並んだものの中から見分けられること。何もないところから、思い出せること。困ったとき、目の前に商品はありません。要るのは、後者です。

思い出されるかどうかは、名前の知られ方だけでは決まりません。困った場面で思い浮かびやすいか。それは、記憶の中で、その名前がどれだけ多くの場面やきっかけと結びついているかによると考えられています。

3思い出される順は、二段ある

代理店を通して売る会社では、顧客の頭のほかに、代理店の担当者の頭があります。

思い出される順は、二段ある (本の図13-1)PNGSVG

工場長が困った朝、最初に浮かぶのは、メーカーの名前ではなく、毎月来る担当者の顔です。そして、担当者の頭の中で何が浮かぶか。展示会やWeb、同業の話から直接メーカーに来る道もありますが、多くの場合、候補に入るかどうかは担当者の頭の中で先に決まっています。

4担当者は、なぜその名前を挙げるのか

信頼は、相手の側に生まれます。担当者から見て、三つのもとを当て直します。

信頼のもと担当者が見ているもの
できるか自分の得意先での導入が、言ったとおりに終わったか
こちらのことを考えてくれるか自分の得意先に、頭ごしに入ってこないか。無理な相手に、無理と言うか
言ったことを守るか苦情のあと、メーカーがどう動いたか

担当者にとっての「定番」は、良い商品という意味ではありません。勧めて、苦情が来なかった、という実績のことです。 新しいメーカーが定番になる道は、担当者ごとの一件めを、約束どおりに終えることから始まります。

そして、崩れるほうが速い。一度の「話が違う」は、顧客一社の信頼に加えて、名前を挙げてくれた担当者の信用まで傷つけます。名前が浮かばなかったのは、覚えていなかったからではなく、覚えていたから、ということもあります。

5社名より、場面

「この分野といえば、うち」と覚えてもらうだけでは足りません。その分野のことをふだんから考えている人は、いないからです。工場長の頭に浮かぶのは「またパートさんが辞めた」という場面のほうで、その場面と名前が結びついているかが分かれ目です。

覚えてほしいことは、少なく決めて、どの接点でも同じように出会ってもらいます。 場面と、約束と、社名や決まった言い回しのような見分けてもらう手がかり。社内で「古い」と感じるころ、相手はまだ覚え始めたところかもしれません。

6結果を、担当者にも返す

導入のあと、結果を担当者にも返します。「次の朝、全員が使えました」を一言戻す。担当者が次の得意先で話せる材料になります。「先月入れたところ、次の朝から回っていましたよ」。良い話も悪い話も、担当者を通って広がります。

やりがちな間違い

評判がいいから、いずれ広がると待つ。困った日に思い出されなければ、評判は候補に届きません。
社名を覚えてもらうことだけを考える。結びつけるのは、困りごとの場面です。
資料の色や決まり文句を、担当者や展示会のたびに変える。見分けてもらう手がかりを、自分で手放すことになります。

A社の場合

架空の会社の例

A社の一枚もカタログも、代理店の担当者のかばんの中にありました。それでも、工場長からの電話に、A社の名前は出ませんでした。その担当者は、以前、使われなくなったA社の機械のことで工場長から不満を言われた人でもありました。A社が戻る道は、説明会でも刷り直した資料でもなく、次の一件を約束どおりに終え、その結果を担当者に返すことでした。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

困った日の場面(例)「また一人辞めた」
最初に浮かぶ顔代理店の担当者
担当者の「定番」を決めるもの勧めて苦情が来なかった実績

B社 建材

困った日の場面(例)「職人が足りず、工期が延びそう」
最初に浮かぶ顔建材の販売店の担当者
担当者の「定番」を決めるもの施工でトラブルがなかった実績

C社 業務用のソフト

困った日の場面(例)「受注の担当者が辞めた」
最初に浮かぶ顔付き合いのある IT の販売代理店
担当者の「定番」を決めるもの導入後の問い合わせが少なかった実績

D社 計測の機器

困った日の場面(例)「取引先から検査の記録を求められた」
最初に浮かぶ顔商社の担当者
担当者の「定番」を決めるもの測定の不具合がなかった実績

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1買った人の評判はいいのに、新しい顧客が増えません。最初に疑うとよいのは、どれでしょうか。A 商品の性能 B 困った日に、名前が思い出されているか答えを見る

B。評判は買った人の中の話です。困った場面で、顧客と担当者の頭に名前が浮かぶかを確かめます。

問2代理店の担当者にとっての「定番」とは、何でしょうか。答えを見る

勧めて、苦情が来なかった実績のあるメーカーです。良い商品という意味とは限りません。

やってみる

自分の会社で

代理店の担当者に、一つだけ聞いてみてください。「この困りごとの相談が来たら、まず何を勧めますか」。答えに自社の名前が出たか、出なかったか。出なかったなら、最初に出た名前と、その理由を聞いて書きとめます。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第13章。代理店の担当者からの電話は、こう始まりました。

「一件、出せませんでした」

本について →

本の該当箇所:第13章 第1・2・3・6節、付録1

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