マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 04 見えないテーマ:顧客を知る読む時間 約6分更新 2026年10月5日

顧客は、なぜ今決めないのか

三行で言うと
  1. 「急がなくていい」には、三つの読み方がある。本当に急がない/急ぐ理由があるのに決める人に届いていない/急ぎたいが、切りかえの不安が大きい。
  2. 困りごとが切実になるには、きっかけがある。人が辞めた、取引先に求められた、機械が古くなった。
  3. 設備の買い物には、予算と時期がある。決算の月と、決める時期を知らないと、見積もりを出す時期も見せ方もずれる。

1検討は、一本道では進まない

買い物は、気づく → 調べる → 比べる → 決めて買う → 使って確かめる、の五つの段階に分けて考えられてきました。けれども、全員がこの順に進むわけではありません。

  • じっくり進む 段階ごとに時間をかける
  • 飛ばす 消耗品の補充のように、調べも比べもせず、いつもの相手に頼む
  • 戻る 見積もりを見てから、「そもそも本当に要るのか」に引き返す
  • 途中で離れる 調べてはみたが、忙しくなってそれきりになる
同じ五つでも、歩き方は一つではない (本の図2-2)PNGSVG

見落とされやすいのは、途中で離れる人たちです。五つの段階は「顧客はこう動く」という決まりではなく、「どの段階で止まったのか」を考えるための物差しです。

2「急がなくていい」の三つの読み方

読み方確かめる相手打つ手
本当に、急がなくてよい。困りごとが、まだ切実になっていない言い出した人追わない。今のやり方で足りている会社は、段取りを整えても、費用を見せても動かない
急ぐ理由はあるのに、決める人に届いていない言い出した人、販売パートナーの担当者言い出した人に、決める人へ渡せる材料を持たせる
急ぎたいが、切りかえの不安が大きい決める人決めることの危険を小さくする。休業日の導入、やめられる形

どれなのかは、確かめるまで分かりません。一つめなら、追わない判断もあります。

三つめ(急ぎたいが、不安が大きい)は、見落とされやすい読み方です。変えたい気持ちはあるので、関心が高そうに見えます。それでも決まらないのは、決めることが怖いからです。

3切実になる、きっかけ

困りごとがあるだけでは、まだ「急ぐ話」になりません。きっかけがあって、初めて動きます。

  • 人が辞めた。募集しても集まらない
  • 取引先から、やり方の見直しを求められた
  • 今の機械が古くなった

きっかけが分かると、追う時期が分かります。きっかけのない会社を、いま追いかける必要はありません。きっかけは、変わりたい気持ちを強めるものです。止めているほうの手間と不安は、別に小さくします(「競合に『いまのまま』を数えるのは、なぜか」)。

4予算と時期

設備の買い物は、思い立った月に決まるとは限りません。

  • 来期の設備の話を、いつするのか
  • 繁忙期の前に入れたいのか、後なのか
  • 自己資金で出すのか、借入やリースにするのか

資金の出どころが決まっていなければ、決める人は「急がなくていい」と言います。顧客の決算の月と、設備を決める時期は、毎月通っている販売パートナーの担当者が知っていることがあります。聞く項目に足します。

5検討に、区切りを置く

区切りのない検討は、「いまのまま」に落ち着きがちです。見積もりを出したら、「社長にお話しになったあと、出た疑問だけ伺います」と、次の日を決めます。日付は、顧客が入れたい日から逆に数えて置きます。

やりがちな間違い

返事のない会社を、全部同じように追う。三つの読み方のどれかで、打つ手は正反対になります。
顧客の時期を知らずに、見積もりを出す。予算が決まる前に出しても、決める場に乗りません。
「返事がない」を、失注と同じに扱う。時期を待っているだけの会社もあります。区切りの日と、次に確かめることを書いておきます。

A社の場合

架空の会社の例

A社は、顧客がいつ設備を決めるのかを、まだ知りませんでした。マーケティング課長の早川さんは、代理店の担当者との打ち合わせで、決算の月と、設備をいつ決めるかも聞いてみました。決算の月は分かりました。社長がいつ決めるかは、担当者にも分かりませんでした。分からないことも、分からないと書いておきます。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

切実になるきっかけパートが辞めた。取引先から衛生管理の見直しを求められた
予算と時期決算の月、繁忙期の前後
決める人の不安設置で製造が止まる

B社 建材

切実になるきっかけ職人が足りない。施主から性能の説明を求められた
予算と時期着工の予定、年度の仕様の見直し
決める人の不安慣れない施工で工期が延びる

C社 業務用のソフト

切実になるきっかけ受注の担当者が辞めた。取引先から発注の方法を変えるよう求められた
予算と時期決算の月、繁忙期を避けた切りかえの時期
決める人の不安切りかえのあいだ、受注が止まる

D社 計測の機器

切実になるきっかけ取引先から検査の記録を求められた。測定の人手が足りない
予算と時期設備の予算を組む時期
決める人の不安検査の手順が変わり、記録が途切れる

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1決める人が「急がなくていい」と言いました。この言葉から、すぐに分かることはどれでしょうか。A 困りごとが切実ではない B 材料が届いていない C 切りかえが不安 D この言葉だけでは分からない答えを見る

D。三つの読み方のどれなのかは、言い出した人や販売パートナーの担当者に確かめるまで分かりません。

問2見積もりを出したあと、区切りの日を置くのはなぜでしょうか。答えを見る

区切りのない検討は、「いまのまま」に落ち着きがちだからです。顧客が入れたい日から逆に数えて、次に話す日を決めます。

やってみる

自分の会社の一件で

型02 止まった一件の書き出し

型2「止まった一件の書き出し」。返事が止まった案件を一つ選び、時間の順に書き出したうえで、三つの読み方のどれに近いかを、根拠と一緒に書きます。決算の月と、設備を決める時期が書けなければ、誰に聞くかを書き添えます。

  • 時間の順
  • 関わった人(この一件で、誰が何をしたか)
  • 比べていた相手
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第2章。読者だけが聞いた顧客の社長の「急がなくていい」を、A社はまだ知りません。決算の月と決める時期を聞きにいくのは、第5章です。

本について →

本の該当箇所:第2章 第2・6節、第12章 第4節

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