1最初の画面で、「自分の話だ」と思えるか
読まれ方には二通りあります。自分に深く関わる話だと思い、時間と知識もある人は、中身を読んで判断します。どちらかが欠けると、中身以外の手がかりで判断しがちです。法人の買い物では、この二通りが、同じページを見る別の人です。現場の責任者は読みこみ、決める人はさっと見ます。同じ人でも、はじめはさっと見る側にいます。
Webのページなら、最初の画面で「自分の話だ」と思ってもらえるかが分かれ目です。 最初の画面に会社の紹介や「高性能」が並んでいると、誰にでも当てはまる言葉は、誰にとっても自分の話になりません。一番上には、相手の具体的な困りごとを置きます。根拠や細かい仕様は、読む気になった人のために下に置きます。
2調べに来た人の答えが、あるか
Webサイトや資料では、調べに来た人が「何がよくなるか(効果)」「見合うか(対価)」の答えを探します。つくり直しても問い合わせが変わらないなら、確かめます。
- 総額(毎年の費用まで)の見方のページがあるか。読まれているか
- 導入の流れ(何日止まるか、誰が何をするか)のページがあるか
- できないこと、まだ見せられないものが書いてあるか
答えのない問いを残したまま見た目を整えても、止まる場所は変わりません。
総額の見方のページは、答えを置く場所であると同時に、手がかりにもなります。そのページを読んでから問い合わせてきた人は、すでに対価を気にしています。最初の電話で、何から話せばよいかが分かります。一律の価格を出せない商品でも、前提をつけた例と、何で金額が変わるかは書けます。
3入口を、重さで分ける
問い合わせの入口が「見積もりのご依頼」だけだと、まだその気のない人は、行き場がありません。
入口を、重さで分けます。 たとえば、「現場の相談」「五年間の総額の試算」「下見の依頼」の三つ。重さを、顧客が選べるようにします。試算の依頼は、電話で事情を聞いて表にして返す形にすれば、相手の事情を直接聞ける最初の機会にもなります。
4顧客は、順番どおりには来ない
顧客は、広告からWebへ、Webから下見へ、と順には進みません。販売パートナーの紹介でいきなり下見の話になる人も、半年後に思い出して戻ってくる人もいます。検索、業界のサイト、動画、同業の話、AI の回答。どこで何を読んでから来るかを、会社は決められません。
だから、一本の順路に乗せようとするより、どこから来た人にも、次にどこへ行けばよいかが分かるようにします。法人の買い物は決めるまでに半年や一年かかることもあり、きっかけが来て思い出した人が頼るのは、たいてい Webサイトです。戻ってこられる場所になっているか。更新の止まったページは、かえって不安の種になります。
5問い合わせの「数」だけで読まない
問い合わせの数は、言葉を相手に合わせると、減ることがあります。そのかわり、事情を話してくれる人が来ます。接点の成績は、次の接点で見ます。 試算の依頼、下見まで進んだ件数、総額のページを読んでから来たか、で読みます(「資料請求は増えたのに、引き合いが増えないのはなぜか」)。
やりがちな間違い
A社の場合
架空の会社の例
A社のWebサイトの問い合わせの入口は、「見積もりのご依頼」だけでした。マーケティング課長の早川さんは、入口を「洗い場の相談」「五年間の総額の試算」「下見の依頼」の三つに分けました。試算は、数字を入れて自動で返す画面にはせず、時給と時間と日数を電話で聞いて表にして返します。その電話が、「どこで知りましたか」を聞く最初の機会になるからです。
ほかの業種なら
A社 業務用の洗浄機
| 最初の画面に置く困りごと(例) | 洗い場の人手、足りていますか |
|---|---|
| 調べに来た人が探す答え | 総額、何日止まるか、できないこと |
| 重さで分けた入口(例) | 相談/総額の試算/下見の依頼 |
B社 建材
| 最初の画面に置く困りごと(例) | 職人が足りず、工期が延びていませんか |
|---|---|
| 調べに来た人が探す答え | 施工の手間、工期、合わない構造 |
| 重さで分けた入口(例) | 相談/図面からの拾い出し/現場の確認 |
C社 業務用のソフト
| 最初の画面に置く困りごと(例) | 受注の入力、一人に頼っていませんか |
|---|---|
| 調べに来た人が探す答え | 移行の手間、二年めからの料金、できないこと |
| 重さで分けた入口(例) | 相談/月々の費用の試算/画面のデモ |
D社 計測の機器
| 最初の画面に置く困りごと(例) | 検査の記録、手で書いていませんか |
|---|---|
| 調べに来た人が探す答え | 校正の費用、手順書への影響、測れないもの |
| 重さで分けた入口(例) | 相談/測れるかの確認/試しの測定 |
A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。
理解を確かめる
問1Webサイトの最初の画面に、まず置くとよいのは何でしょうか。答えを見る
相手の具体的な困りごと。会社の紹介や性能より先に、「自分の話だ」と思える一行を置きます。
問2問い合わせの入口を、重さで分けるのはなぜでしょうか。答えを見る
入口が見積もり依頼だけだと、まだその気のない人や、半年後に戻ってくる人の行き場がないからです。重さを顧客が選べるようにします。
やってみる
自分の会社の一件で
型09 接点の役割表
型9「接点の役割表」。Webサイトを一行として、「誰の、どの問いに答えるか」を書き、その答えのページがあるかに印をつけます。問い合わせの入口を、軽い順に三つまで書き、それぞれ「何が起きたら一件と数えるか」を決めます。
- 接点ごとに
- 主な指標(売上への近さで選ぶ)
- 指標を変えたら(一行)
本では
本では 『選ばれる理由のつくり方』
この話が、人のあいだでどう進んだか。
第11章・第12章。一枚の資料とWebの最初の画面を、相手の困りごとから組み直し、入口を三つに分けるまでが出てきます。
本について →本の該当箇所:第11章 第4節、第12章 第3・4節、付録1