マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 02 決まらないテーマ:資料・Web・広告読む時間 約6分更新 2026年10月5日

「動画をつくるべきか」と聞かれたら、何から考えるか

三行で言うと
  1. 手段の名前から入らない。誰の、どの問いに答える動画なのかを先に決める。
  2. 足す前に、つなぎを見る。今ある接点のあいだで、話が切れていないか。
  3. 接点の成績は、その接点ではなく、次の接点で見る。

1すぐには答えられない

「うちも、動画を始めたほうがいいでしょうか」。すぐには答えられません。誰の、どの問いに答えるための動画なのかが、決まっていないからです。

顧客が会社や商品に触れる場面を、接点と呼びます。広告、Webサイト、展示会、営業の訪問、そして販売パートナーの担当者の訪問も接点です。手段ごとに、広く知らせる、くわしく説明する、信じてもらう、といった得意な役目が違います。

2接点の役割表に、一行足してみる

接点主な相手答える問いここで受け持つことほかにまかせること
展示会のブース現場の責任者関係(自分の話か)足を止めてもらい、事情を一つ聞く総額の説明
Webサイトあとで見直す人。夜に見る決める人効果、対価、信頼総額の見方、導入の流れ、できないことこちらから話しかけること
販売パートナーの担当者の訪問現場の責任者関係、信頼顔を知っている人が、困りごとを聞く技術の細かい質問
決める人向けの一枚来ていない決める人対価、入手社内を回る質問に答えること
(動画を足すなら)????

(業務用の洗浄機の例)

動画の行の「答える問い」が書けないなら、まだ足すときではありません。 書けたなら、たとえば「導入の一日の流れを、決める人が夜にWebで見る(入手・信頼)」のように、相手と問いが決まり、長さも中身も決まります。

3接点は、会社が用意するものだけではない

接点には、会社が用意するもののほかに、組んでいる相手が持つもの、顧客自身の側にあるもの、まわりの人や世間の声があります。代理店を通じて売る会社で一番回数の多い接点は、たいてい販売パートナーの担当者の訪問です。会社はこれを動かせませんが、支えることはできます。動画も、担当者が商談で見せられる長さにすれば、その接点を支える道具になります。

顧客は、順番どおりには来ません。検索、業界のサイト、動画、同業の話、販売パートナーの一言、AIの回答。どこで何を読んでから来るかを、会社は決められません。できるのは、どこを切り取られても食い違わないように、言葉と数字をそろえておくことです。

4足す前に、つなぎを直す

接点を一つ足せば、つくる手間と、続ける手間がずっとかかります。更新の止まったページのように、続かなくなった接点は、かえって不安の種になります。

足す前に、どこで止まっているかを見ます。展示会の名刺のうち、まだ電話していない分が残っているなら、名刺を倍にするより、まず電話するほうが先です。進む割合が低く、直す手間が小さいうちは、つなぎを先に直すほうが、同じ費用から多くの契約が生まれます。

5成績は、次の接点で見る

展示会のパネルを「高性能・高速洗浄」から「洗い場の人手、足りていますか」に変えると、足を止める人は減るかもしれません。そのかわり、事情を話してくれる人が来ます。

接点ごとの成績は、次の接点で見ます。 来た人の数だけで見ていると、言葉を相手に合わせて来る人が減ったとき、悪くなったように見えます。その数字で言葉を元に戻すと、次の接点に合わない人をまた集めることになります。動画も同じで、再生された回数ではなく、見たあとに相談や試算の依頼が来たかで見ます。

相談の入口は一つではなく、戻り道もある (本の図12-1)PNGSVG

やりがちな間違い

「他社もやっているから」で始める。答える問いが決まらないまま、つくって終わります。
来た人の数、再生の回数で評価する。次の接点につながったかで見ます。
続けられない接点を増やす。止まった接点は、不安の種になります。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんは、接点を足す前に、去年の展示会の名刺を見直しました。狙う業種の名刺三十枚のうち、連絡がついたのは十件ほどで、残りの二十枚にはまだ電話していませんでした。早川さんは営業部長に、名刺の一覧を一緒に見て、受け手を一社ずつ決めてほしいと頼みました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

動画が答えられそうな問い(例)設置の一日の流れ(入手・信頼)
主な相手夜に見る顧客の社長
次の接点(成績を見る場所)総額の試算の依頼

B社 建材

動画が答えられそうな問い(例)施工の手順と、職人の手間(入手・信頼)
主な相手工務店の社長、現場監督
次の接点(成績を見る場所)図面からの拾い出しの依頼

C社 業務用のソフト

動画が答えられそうな問い(例)毎日の入力の画面(効果・入手)
主な相手受注係の責任者、役員
次の接点(成績を見る場所)試算や画面のデモの依頼

D社 計測の機器

動画が答えられそうな問い(例)測定の手順と、校正の流れ(信頼)
主な相手検査の担当者、部長
次の接点(成績を見る場所)試しの測定の申しこみ

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「動画をつくるべきか」と聞かれました。最初に決めることは何でしょうか。答えを見る

誰の、どの問いに答える動画か。接点の役割表に一行足して、「答える問い」の欄が書けるかどうかで判断します。

問2展示会のパネルの言葉を相手の場面に合わせたら、足を止める人が減りました。失敗でしょうか。答えを見る

まだ分かりません。接点の成績は次の接点で見ます。事情を話してくれる人や、その後の相談が増えていれば、むしろ前進です。

やってみる

自分の会社の一件で

型09 接点の役割表

型9「接点の役割表」。今ある接点を行に並べ、「誰の、どの問いに答えるか」「次の一歩」「受け手」「何が起きたら一件と数えるか」を書きます。足したい接点は、最後に一行足して、同じ欄が書けるかを確かめます。

  • 接点ごとに
  • 主な指標(売上への近さで選ぶ)
  • 指標を変えたら(一行)
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第12章。接点を足す前に、早川さんが営業部長に頼んだのは、十五分だけでした。

「来週、去年の名刺の一覧を十五分だけ、一緒に見てもらえますか。電話していない二十枚の受け手を、一社ずつ決めたいんです」

本について →

本の該当箇所:第12章 第2・3・8節、付録1

次に読む