1「問い合わせ」と「引き合い」を分ける
名刺をもらった。フォームが届いた。資料請求が来た。どれも数えやすい数ですが、そこには対象外の人も、資料だけ欲しい人も入ります。
そこで、二つを分けて数えます。
| 状態 | 何が起きたら一件と数えるか |
|---|---|
| 問い合わせ | 名刺、フォーム、資料請求 |
| 引き合い | 相手の事情(現場の困りごと、人数、時期など)を、本人から直接聞けた |
「引き合い」は、業界や会社によって意味が違う言葉です。だからこそ、自社で何が起きたら一件と数えるかを、一文で決めます。一般に使われる「リード」は、たいてい問い合わせの段階を指します。
2誰が記録し、いつから数えるか
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 誰が記録するか | 受けた人。販売パートナー経由の件は、担当の営業が聞いて、マーケティング担当者が書く |
| いつから数えるか | 定義を決めた日から |
| 読むときの注意 | それより前の件数と同じとは限らない。並べない |
引き合いの定義を決めると、件数は前の年より減って見えることがあります。悪くなったのではなく、物差しが変わったのです。 変えたら、いつ・何を・なぜ変えたか、新旧の定義を一行残します。
定義は、受け取る側の営業と合わせて決めます(「資料請求は増えたのに、引き合いが増えないのはなぜか」)。
3事情を聞ける「軽い一歩」を置く
引き合いを数えるには、事情を聞ける機会が要ります。入口が「見積もりのご依頼」だけだと、まだその気のない人は来ず、来た人の事情も聞けません。
あいだに、軽い一歩を置きます。たとえば、その会社の数字を入れた「五年間の総額の試算」。数字を入れて自動で返す画面にはせず、時給と時間と日数を電話で聞き、表にして返します。その電話が、事情を直接聞ける最初の機会で、「どこで知りましたか」を聞く機会でもあります。
4次に進める目安を、先に決める
引き合いの次(下見や現地の確認)は、たいてい人の時間を使います。次に進める目安を、先に決めます。
例:現場の人数、止められない日、入れたい時期が聞けていて、試算を一度見ている会社に、下見を入れる。そろっていなければ、試算と資料を渡して、待つ
目安がなければ、「下見に来てくれ」と言われるたびに技術者が出て、見込みの薄い相手に日数を使い、先に尽きます。販売パートナーが段取りした下見にも、同じ目安を当てます。人の都合で数が動かないよう、数えるのは「目安がそろった日」にします。
やりがちな間違い
A社の場合
架空の会社の例
A社は、引き合いを「洗い場の事情を、工場の人から直接聞けた相談」と決めました。名刺、フォーム、資料請求だけでは数えません。下見に進めるのは、洗い場の人数・止められない日・入れたい時期が聞けていて、総額の試算を一度見ている工場、と目安も決めました。そろっていない工場には、試算と一枚を渡して待ちます。
ほかの業種なら
A社 業務用の洗浄機
| 引き合いの定義(例) | 洗い場の事情を本人から聞けた |
|---|---|
| 事情を聞ける軽い一歩 | 総額の試算 |
| 次に進める目安(例) | 人数・止められない日・時期・試算を見た |
B社 建材
| 引き合いの定義(例) | 現場の条件を工務店から聞けた |
|---|---|
| 事情を聞ける軽い一歩 | 図面からの手間と工期の拾い出し |
| 次に進める目安(例) | 図面・着工時期・決める人が分かった |
C社 業務用のソフト
| 引き合いの定義(例) | 受注の流れを担当者から聞けた |
|---|---|
| 事情を聞ける軽い一歩 | 今の作業時間を入れた月々の試算 |
| 次に進める目安(例) | 業務の流れ・切りかえ時期・決める人が分かった |
D社 計測の機器
| 引き合いの定義(例) | 検査の条件を担当者から聞けた |
|---|---|
| 事情を聞ける軽い一歩 | 部品の写真から、測れるかの返事 |
| 次に進める目安(例) | 部品・検査数・設備の予算時期が分かった |
A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。
理解を確かめる
問1資料請求が来ました。これは引き合いでしょうか。答えを見る
この記事の定義では、まだ問い合わせです。相手の事情を本人から直接聞けたら、引き合いとして数えます。
問2引き合いの定義を決めたら、前の年より件数が減りました。どう報告しますか。答えを見る
物差しが変わったことを書き添え、前後を同じ成果として並べません。変えた日と、新旧の定義を一行残します。
やってみる
自分の会社の一件で
型09 接点の役割表
型9「接点の役割表」。自社の「引き合い」を一文で定義し、誰が記録するか、いつから数えるかを書きます。あわせて、事情を聞ける軽い一歩を一つ、次に進める目安を三つまで書きます。
- 接点ごとに
- 主な指標(売上への近さで選ぶ)
- 指標を変えたら(一行)
本では
本では 『選ばれる理由のつくり方』
この話が、人のあいだでどう進んだか。
第12章。展示会の名刺を数えたあと、A社は何を一件と数えるかを決め、下見に進める目安を置きます。引き合いの数え方は、第1章の数字(100件、60件、20台)の前提でもあります。
本について →本の該当箇所:第12章 第4・7節、第1章 第1節