マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 02 決まらないテーマ:相手を選ぶ読む時間 約7分更新 2026年10月5日

先に追う相手を、どう決めるか

三行で言うと
  1. 選ぶとは、順番を決めること。こちらから追う相手、来れば応じる相手、できないと先に伝える相手に分ける。
  2. 比べるときは、記号を足し算しない。「根拠」と「確かさ」の列を見る。
  3. 選んだ理由と、見直す条件(いつ、何を見て)を、同じところに書く。

1比べる項目

セグメントを分けたら(「問い合わせは多いのに、『うちには大きすぎる』と言われて終わる」)、次は選ぶ番です。選んだ相手をターゲットと呼びます。先に時間とお金を使うと決めた相手です。

項目見ること
大きさ何社あるか。一年に何社が動きそうか
課題の重さ毎日のことか、ときどきか
自社との相性自社の強みが、その課題にそのまま効くか
競合の強さ相手は同業か、「いまのまま」か。すでに強い相手が顧客をつかんでいないか
販売パートナーの接点担当者が出入りしているか。そこで誰と会っているか
受けきれるか人の時間(技術者、営業)が足りるか

小さすぎる相手は、一社あたりの利益がよほど大きくないかぎり続きません。大きくても課題が軽ければ、「いまのまま」に負け続けます。

2大きさは、幅で持つ

大きさは、初めは仮の数で置きます。販売パートナーの担当者に「出入り先だと、どのくらいがそんな感じですか」と聞き、三割なら何社、七割なら何社、と幅で持ちます。 三十社か五百社かの見分けがつけば、順番を決めるには使えます。

もう一つ、「何社あるか」と「一年に何社が動きそうか」は分けます。 何年かに一度の買い物なら、百五十社あっても、一年に検討を始めるのはその一部です。決める人がまず聞くのは、「一年に何台売れそうか」のほうです。

3記号を足し算しない

比べる表をつくると、記号を点数にして合計したくなります。けれども、項目の重みは同じではなく、どれを重く見るかで合計は簡単に入れ替わります。表の中には、しっかり確かめた評価と、会議室でつけた評価が混ざっていて、足し算をするとその違いが消えます。

一番役に立つのは、右端に「根拠」と「確かさ」の列を置くことです。 「この評価は、二社の伝聞だけだ」と気づければ、決める前にもう少し調べるのか、分かっている範囲で決めるのかを選べます。

4課題が合う相手と、会えている相手

課題が合う相手と、会えている相手は重なるか (本の図6-4)PNGSVG

課題が合うのに接点がない。接点はあるのに課題が合わない。このずれが、選ぶときの一番の分かれ目です。 聞くことは一つ。「その会社で、ふだん誰と話していますか」。出入りしていても、会っているのが購買の窓口だけなら、課題の話は届きません。

5選んだ理由と、見直す条件を、同じところに

選んだ理由と、見直す条件を、同じ紙に (本の図6-3)PNGSVG

たとえば、こう書きます。「人手が足りない工場から始める。理由は、課題が切実で、設置の短さが効き、代理店経由で届くから。大きさは仮の数なので、半年後に見直す。半年で引き合いが二十件に届かないか、別のセグメントからの問い合わせが同じ数まで増えたら、順番を考え直す」。

こう書いておけば、状況が変わったとき、どの前提が崩れたのかをたどれます。

6選ぶとは、順番を決めること

「ほかの顧客を捨てるのか」という声が出がちです。捨てるのではありません。

  • 追いかける相手:こちらから時間とお金を使う
  • 来れば応じる相手:問い合わせが来れば対応する
  • できないと先に伝える相手:自社の商品では応えられない相手。カタログに上限を書き、販売パートナーにも伝えておく

絞りすぎにも用心します。条件を足すほど顧客の姿ははっきりしますが、当てはまる会社は減ります。また、先に追う相手を絞ることと、名前を知っておいてもらう範囲は、別に決めます(「問い合わせは多いのに…」の記事)。

600社を、分けきらない (本の図6-2)PNGSVG

やりがちな間違い

合計点で決める。重みと確かさの違いが消えます。
「ほかを捨てるのか」に押されて、全部を同じ力で追う。何も選んでいないのと同じになります。
見直す条件を書かずに選ぶ。あとで、なぜ選んだのかが分からなくなります。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんは、三つのセグメントを比べる表に「根拠」と「確かさ」の列を置きました。衛生管理を急ぐ工場の評価は、二社の伝聞だけでした。そこで、今は選ばず、評価は保留。あと三社に聞くまで「分からないものは、分からないまま置く」ことにして、別の代理店の担当者に、次の訪問で一問だけ頼みました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

追いかける相手(例)人手が足りなくて、止められない工場
来れば応じる相手衛生管理を急ぐ工場
できないと先に伝える相手一度に大量に洗いたい工場

B社 建材

追いかける相手(例)職人が足りず、施工の手間を減らしたい工務店
来れば応じる相手大きな住宅会社の現場
できないと先に伝える相手自社の工法に合わない構造の現場

C社 業務用のソフト

追いかける相手(例)手作業の受注が多い卸売の会社
来れば応じる相手受注は少ないが、取引先の求めで変えたい会社
できないと先に伝える相手自社のつくり込みを強く求める会社

D社 計測の機器

追いかける相手(例)取引先から検査の記録を求められている部品メーカー
来れば応じる相手検査の数が少ない工場
できないと先に伝える相手求める精度が機器の範囲を超える検査

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1比べる表の記号を点数にして合計すると、何がまずいのでしょうか。答えを見る

項目ごとの重みの違いと、評価の確かさの違い(確かめた評価か、会議室でつけた評価か)が消えます。根拠と確かさの列を見て決めます。

問2「選ぶ」とは、何を決めることでしょうか。答えを見る

順番です。追いかける相手、来れば応じる相手、できないと先に伝える相手に分け、追いかける相手から回ります。

やってみる

自分の会社の一件で

型05 選んだ理由と、見直す条件

型5「選んだ理由と、見直す条件」。先に追う相手を一つ書き、選んだ理由を三つまで。そのうえで、見直す日と、何がどうなったら選び直すかを、件数で書きます。

  • 選んだ理由(三つまで)
  • 大きさ(幅で)
  • 根拠と確かさ
  • 順番
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第6章。比べる表をつくったあと、早川さんは、営業部長に持っていく前に、選んだ理由と見直す条件を一枚にしました。営業の目標と食い違ったときに何を合わせるかも、この章で扱います。

本について →

本の該当箇所:第6章 第4・5・6節

次に読む