1一つの数字で答えようとするから、詰まる
広告も、Webサイトも、展示会もやっている。会議で「それで、売上にはどう効いたのか」と聞かれ、答えに詰まる。代理店や販売店を通じて売る会社では、これは担当者の力不足ではありません。顧客の反応が、営業や販売店の向こう側にあって、手元まで戻ってこない構造から来ています。
それでも、答え方はあります。一つの数字で答えようとせず、分けて答えます。
2三段に分ける
| 段 | 答えること | いつ分かるか |
|---|---|---|
| 実行できたか | 決めたとおりに、資料が渡され、見積書が出され、広告が出たか | すぐ。一件ずつ数えられる |
| 障壁はどう変わったか | 顧客はどこで止まったか。前と同じ理由か、新しい理由か | 数か月で見え始める。数件でも学べる |
| 売上は動いたか | 引き合い、下見、見積もり、契約の件数 | 半年後、一年後に前の年と並べる |
一段めと二段めは先に動く数字、三段めはあとから動く数字です。先に動く数字は、あとから動く数字につながるはずだ、という仮説つきで見ます。「売上は半年後と一年後にお見せします。今日お出しするのは、一段めと二段めです」と、聞かれる前に伝えておきます(「三か月後に『で、何台売れたんだ』と聞かれないために」)。
3すぐ変わるものと、ゆっくり積もるもの
効き目は、出る速さの違う二通りに分かれます。
- すぐ変わるもの:販売パートナーの担当者が、約束の言い回しを言えるようになったか。次の一件のあと、翌月には聞ける
- ゆっくり積もるもの:困りごとの話が出たとき、自社の名前を挙げる担当者が増えたか。翌月の数字には出ない
狙う相手の多くは、今年は動いていません。動くのは、人が辞めた月、繁忙期の前、取引先から何か言われたときです。その日に名前が浮かぶかどうかは、今年の問い合わせの件数には出ません。
ゆっくり積もるほうを、ひと月で「効かなかった」とは決めません。かといって、「ブランドのためだから、数字では測れません」で話を終えれば、積み上がっているのかどうかが、誰にも分からなくなります。
4積もっているかを、半年おきに同じ聞き方で見る
売上の手前に、見られるものがあります。
- 販売パートナーの担当者に「この困りごとのお客さんがいたら、まず何を勧めますか。なぜですか」と聞く
- 引き合いの最初の電話で、「どこで知りましたか。ほかに何を考えましたか」と聞く
- 社名を挙げての相談の件数と、社名で検索された回数を見る
担当者の答えは、割合で語りません。「一人が三人になった」は手がかりで、証明ではありません。それでも、半年おきに同じ聞き方で見ていけば、積み上がっているかの見当がつきます。
5引き合いを、広告だけの成績にしない
引き合いの件数は、広告、Web、展示会に、営業と販売パートナーの仕事が足されて動く数字です。広告そのものが受け持つのは、たいてい「自分の話か」という最初の問いだけです。引き合いの上がり下がりを、広告だけの成績として読むと見誤ります。
やりがちな間違い
A社の場合
架空の会社の例
A社のマーケティング課長、早川さんが代理店の担当者五人に「洗い場の人手で困っている工場があったら、まず何を勧めますか」と聞いたとき、A社の名前を挙げたのは一人でした。早川さんは営業部長に、「半年後、代理店を回る日に、同じ一問をもう一度聞いてもらえませんか。一人が二人になるかどうかを、見たいんです」と頼みました。
ほかの業種なら
A社 業務用の洗浄機
| すぐ変わるもの | 代理店の担当者が約束を言えるか |
|---|---|
| ゆっくり積もるもの | 人手の話で名前が挙がるか |
| 半年おきに聞く一問(例) | 「まず何を勧めますか」 |
B社 建材
| すぐ変わるもの | 販売店の担当者が施工の手間を説明できるか |
|---|---|
| ゆっくり積もるもの | 職人不足の話で名前が挙がるか |
| 半年おきに聞く一問(例) | 「まずどの材料を勧めますか」 |
C社 業務用のソフト
| すぐ変わるもの | 代理店が移行の手順を説明できるか |
|---|---|
| ゆっくり積もるもの | 受注の担当者が辞めた話で名前が挙がるか |
| 半年おきに聞く一問(例) | 「まずどのソフトを勧めますか」 |
D社 計測の機器
| すぐ変わるもの | 商社の担当者が校正の流れを説明できるか |
|---|---|
| ゆっくり積もるもの | 検査の記録の話で名前が挙がるか |
| 半年おきに聞く一問(例) | 「まずどの機器を勧めますか」 |
A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。
理解を確かめる
問1「売上にどう効いたのか」と聞かれました。三か月の時点で、何を答えますか。答えを見る
実行できたか(一段め)と、障壁がどう変わったか(二段め)。売上(三段め)は、半年後と一年後に前の年と並べて見せると、先に伝えておきます。
問2名前を覚えてもらう施策を、ひと月の引き合いで判定してよいでしょうか。答えを見る
よくありません。ゆっくり積もる効き目は、翌月の数字に出ません。半年おきに、担当者の答えや「どこで知りましたか」の答えを、同じ聞き方で見ます。
やってみる
自分の会社の一件で
型11 結果の報告
型11「結果の報告」。いま続けている施策を一つ選び、三段(実行できたか/障壁はどう変わったか/売上は動いたか)に、何をいつ見るかを書きます。名前を覚えてもらう施策なら、半年おきに聞く一問も書き添えます。
- 一件ずつ(一件を一行)
- 上1 事実(分母つき)
- 上2 計画どおりにできなかったこと
- 上3 先に決めた条件との照らし合わせ
- 別の説明
- 下1 分かったこと
- 下2 まだ仮説のこと
- 下3 次に誰が何を確かめるか
本では
本では 『選ばれる理由のつくり方』
この話が、人のあいだでどう進んだか。
第1章の会議で、社長は二人の顔を見て言いました。
その答え方は、第13章・第16章・第17章で少しずつ形になっていきます。
「で、どっちなんだ」
本について →本の該当箇所:第16章 第4節、第17章 第1節、第13章 第8節、付録1