マーケティングが止まったらSPARKLE 本について

壁 01 説明できないテーマ:約束と商品テーマ:資料・Web・広告読む時間 約7分更新 2026年10月5日

「で、お客さんに何て言えばいいんですか」と聞かれたら

三行で言うと
  1. 機能(商品の性質)・便益(顧客の何がよくなるか)・根拠(信じてよい理由)を分ける。会社の資料は機能に偏る。
  2. 機能ごとに「だから、どうなる」を二回たずね、一歩ごとに根拠と条件を書く。答えにならない機能は、主役から外す。
  3. 書き手は知りすぎている。商品を知らない人に読んでもらい、誰の話か・何をしてくれるか・次に何をすればよいかを言えたら通す。

1正しい一行が、通じない

資料の一番上に、技術的には正しい一行を書いた。「コンパクト筐体による短工期据付を実現」。販売パートナーの担当者は、しばらく眺めて言います。

「設置が早い、というのは分かります。ただ、お客さんの社長に見せたら、ラインが何日止まるのかを聞かれますよね。工場長には、何て言えばいいんですか」

紙のどこにも、顧客が口にしそうな言葉が出てきません。

2機能・便益・根拠を分ける

  • 機能 商品が持っている性質。本体の幅が1,200ミリ。毎日の操作は三つ
  • 便益 その機能で、顧客の何がよくなるのか
  • 根拠 その便益を信じてよい理由(裏づけ)

会社がつくる資料は、機能に偏ります。手もとにある事実なので、書きやすいからです。顧客が知りたいのは便益ですが、機能から便益への橋を、顧客が自分で架けてくれるとは限りません。

約束と顧客の気がかりを先に置いて、それに答える機能を探します。機能から便益をひねり出すのは、逆です。

3「だから、どうなる」を二回たずねる

「だから、どうなる」の間に、根拠を置く (本の図11-1)PNGSVG
機能だから、どうなるだから、どうなる(顧客の場面)根拠と、当てはまる条件
本体の幅が1,200ミリ多くの搬入口を、そのまま通る製造を止めずに入れられる一歩めは寸法から言える。二歩めは、下見で床や電源を確かめた工場に限る
毎日の操作は三つ覚えることが少ない人が入れ替わっても、現場が回る次の朝に全員へ教え、手順を壁に貼る。その日に使えるかは、次の数社で確かめる
一時間に洗える数が多い早く片づく量の多い工場では、人手が大きく減る量の多い工場に限る。人手の減り方は、まだ測っていない

(業務用の洗浄機の例)

書く側の頭の中では、話がその先へ一息に進みます。幅が小さい→工事がいらない→休みの日に終わる→製造を止めない。けれども、幅の数字が裏づけているのは、はじめの一歩までです。一歩ごとに、何がそれを裏づけているのか、どんな条件のときに当てはまるのかを書きます。

同じ機能でも、相手によって重さが違います。速さは、量の多い大きな工場には重い便益ですが、人手が足りない小さな工場にはそれほどでもありません。答えにならない機能は、資料の主役から外します。

4書き手は、知りすぎている

あることをよく知っている人は、知らない人がどう受け取るかを、うまく見積もれなくなります。書く人は、商品を何年も見てきた人。読む人は、今日はじめて見る人です。

つまずくのは、三つです。

  • 言葉 「据付」「筐体」のような、社内や業界の言葉。資料の言葉は、聞き取りの記録から拾う
  • 前提 「休みの日に入れます」と聞いても、ふつうは何日か止めることを知らなければ、助かる話か分からない。比べるものを一緒に書く
  • 飛ばした途中 書く人には当たり前すぎて、「搬入口をそのまま通るから」が抜ける

確かめるには、商品を知らない人に読んでもらい、その人の言葉で話してもらいます。誰の話か、何をしてくれるのか、次に何をすればよいのかの三つを言えたら通します。一度読んだ人はもう知っている側なので、毎回新しい人に頼みます。販売パートナーの担当者には、読んでもらうのではなく、声に出して言ってもらいます(「その説明を、代理店の担当者は自分の口で言えるか」)。

やりがちな間違い

機能を並べて、便益は読む人に任せる。橋は、書く側が架けます。
すべての機能に便益をひねり出す。答えにならない機能は、主役から外します。
社内の人だけで読み合わせる。知っている人には、つまずきが見えません。

A社の場合

架空の会社の例

A社のマーケティング課長、早川さんの下書きの一行めは「コンパクト筐体による短工期据付を実現」でした。代理店の担当者に言われて書き直し、口で言う形は「下見で確かめてから、休みの日に入れます。次の朝は、技術者が始業に立ち会います」になりました。早川さんは、部下と経理の担当者に読んでもらい、三つが言えるかを確かめました。

ほかの業種なら

A社 業務用の洗浄機

機能(例)幅1,200ミリ、操作は三つ
だから、どうなる(顧客の場面)製造を止めずに入れられる
社内の言葉→顧客の言葉(例)短工期据付→休みの日に入れます

B社 建材

機能(例)軽いパネル、決まった留め方
だから、どうなる(顧客の場面)職人一人でも施工でき、工期が延びにくい
社内の言葉→顧客の言葉(例)省施工→職人さんの手間が減ります

C社 業務用のソフト

機能(例)画面が三つ、取引先ごとの設定
だから、どうなる(顧客の場面)担当者が辞めても、受注が回る
社内の言葉→顧客の言葉(例)マルチテナント→取引先ごとに分けて使えます

D社 計測の機器

機能(例)自動で測る、記録が残る
だから、どうなる(顧客の場面)検査が決まった時間で終わり、取引先に記録を出せる
社内の言葉→顧客の言葉(例)トレーサビリティ→記録をそのまま出せます

A社のほかは、考えるための仮の例です。
選んだ業種は、ほかの記事でも最初に開きます(この端末の中だけに残します)。トップでも選べます。

理解を確かめる

問1「本体の幅が1,200ミリ」は、機能・便益・根拠のどれでしょうか。答えを見る

機能です。「だから、どうなる」を二回たずねて、顧客の場面の便益(製造を止めずに入れられる)までつなげ、一歩ごとに根拠と条件を書きます。

問2資料が伝わるかを確かめるとき、読んだ人に言ってもらう三つは何でしょうか。答えを見る

誰の話か、何をしてくれるのか、次に何をすればよいのか。

やってみる

自分の会社の一件で

型06 約束を書く

型6「約束を書く」。自社の商品の機能を三つ選び、「だから、どうなる」を二回たずねて、顧客の場面まで書きます。各段に、根拠と当てはまる条件を添えます。答えにならない機能には、印をつけます。

  • 誰に
  • どんな場面で
  • 何と比べて
  • 約束すること(条件つきで)
  • 裏づけ
  • 約束しないこと
この型で整理する →A社の記入例を見る登録は要りません。入力した内容は、送信しません。

本では

本では 『選ばれる理由のつくり方』

この話が、人のあいだでどう進んだか。

第11章。下書きを見た代理店の担当者の一言から始まります。

「工場長には、何て言えばいいんですか」

本について →

本の該当箇所:第11章 第1・2・3節

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